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ニュージーランド 1/3 
世界の富裕層を集めるオークランド

エンリッチ オークランド 1

ここまで3回にわたって香港について紹介してきましたが(香港の回を読む)、4回目は打って変わってニュージーランド最大の都市オークランドについてです。なぜ、ニュージーランドかというと日本人富裕層の移住先としては人気となっているからです。外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、2013年時点の日本人の永住者は国別でニュージーランドが約8,400人となっていて、シンガポールの約1,900人を大きく上回っています。

上記の人数には現地の人と結婚したり、現地でビジネスをしたりと、富裕層の移住以外のパターンの方ももちろん居ますが、ニュージーランドにおいてこうした需要がシンガポールよりも突出して大きいとは考えづらいので、富裕層の海外移住先としてニュージーランドがシンガポールを人気で上回っていると言っても過言でないでしょう。実際に、弊社のお客様からもニュージーランドに移住を希望される方が出てきて、先日にオークランドを視察してきましたので、今回と次回の2回にわたってオークランドの様子について紹介いたします。

オークランドに深い関わりを持つ富豪として、最も有名なのはジュリアン・ロバートソンです。ロバートソン氏は一時世界最大であったヘッジファンド「タイガー・マネジメント」を創業して巨額の富をなしました。タイガーが解散した後もタイガー・カブスとして知られる弟子たちのヘッジファンドが次々と成功をおさめ、これらのファンドに投資していたことでさらに大きな資産を築きました。フォーブスのランキングによると2015年5月時点で、ロバートソン氏の資産は約34億ドル(約3,800億円)とされています。

ロバートソン氏とニュージーランドの関わりは深く、ロバートソン氏が投資銀行で働いた後40代半ばに1年間ニュージーランドに移住します。米国に戻ってからタイガー・マネジメントを創業して大成功をおさめますが、このファンドを閉鎖した2000年以降もオークランドを中心としてニュージーランドでは色々と活動をしています。ロバートソン氏のニュージーランドでの活動はそのまま、当地の魅力と結びついているので、次回に詳しく紹介いたします。

日本人でもニュージーランドに移住する人は、ロバートソン氏のような金融業界で働く人が多くいます。今回、オークランドを視察するにあたって色々と教えてもらったニュージーランド政府の日本人担当者の方も、元ゴールドマン・サックスで活躍したバンカーでした。なぜ、金融業界の人が引退後や第2の人生にニュージーランドを選ぶのか、オークランドを訪れてよく分かりました。

それは、オークランドを中心としてニュージーランドのライフスタイルが金融業界のそれとは全く逆だからです。私自身は投資銀行で働いた経験はありませんが、似た雰囲気とされる外資系コンサルや、ファンドの世界で働いてきました。20代の若い頃は連日深夜や時には早朝まで働く日々でした。長時間働くだけでなく大きな金額を動かす仕事なのでミスは許されず緊張しっ放しの生活でした。昇進争いも激しいため、同僚とも中々腹を割ったコミュニケーションができず、強いストレスを感じる生活を強いられていました。

一方、オークランドでは弁護士のような他国では忙しい仕事でも17時にほとんどの人が帰宅します。移住手続きの仕事のパートナーとしては苦労することもありますが、生活するのであれば魅力的なライフスタイルです。南半球のオークランドは今が真夏にあたり、さらに緯度が高いため20時過ぎまで十分に明るく、平日でも仕事を終えた後にジョギングやクルージングを楽しむ姿が多くみられました。オークランドは写真にあるように、港の両岸にコンパクトにまとまった都市です。ニュージーランドは世界で最も人口当たりのヨット数が多い国で、オークランドの中心部からもすぐにアクセスできるマリーナがたくさんあります。

岡村聡

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