ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今月は、今年に入り発行が始まった個性的なクレジットカードについて取り上げる。–––
前回は、電車やバスなど一部の公共交通機関がコンタクトレス決済やコード決済に対応したことや、自治体窓口におけるキャッシュレス決済の導入について解説しました。支払いの多様化は確実に進んでいて、人と人の接触が少なくなることでコロナ禍の新しい生活様式に対応することができます。普段であれば、こうした取り組みに敏感といえない行政が素早く動いたのは、国の指針が関係しているのだと思います。共通ポイントをシティプロモーションに活用する事例も取り上げました。こういったPRの在り方は官民ともに増えていきそうです。今後も、ユニークな取り組みがあれば紹介します。
カードフェイスに個人情報は一切なし
ハイセキュリティのカードが登場
今月は、今年に入って新規発行が始まったユニークなクレジットカードに触れます。1枚目は、三井住友カードが2月から発行を始めた、ナンバーレスの「三井住友カード(NL)」です。
同カードといえば、昨年カードデザインをリニューアルした際、カード番号、有効期限、セキュリティコードといった大切な情報を、カードの裏面に記載したことで話題になりました。その際は、横一列に記載されているカード番号に比べて、オンラインショッピングなどで番号入力時のミスが防止しやすい、カード番号を4桁ずつ縦に記載する「Visaクイックリード」を採用したことも、大きな特徴です。このカードにはコンタクトレスである「Visaのタッチ決済」の機能が搭載されていて、店舗などでカードを表に出す機会が増えることから、セキュリティに配慮したのだろうと思います。まさに、時代に即した変化でした。
それから1年もたたずに登場した三井住友カード(NL)は、先に挙げたホルダーの情報が、カードに一切記載されないカードです。これにより盗み見されるリスクは、まったくなくなります。なお、カード情報はVpassアプリで簡単に確認することができるので、ネットショッピングの際も心配ありません。また、通常の三井住友カードはなくなるわけではなく、申請時はどちらかを選ぶことができます。
カード情報の有無だけが、両カードの違いではありません。
例えば、年会費。通常カードは1375円(税込/ネット入会で初年度無料)ですが、ナンバーレスカードは永年無料。これは大きな差でしょう。
また、三井住友カードはセブン-イレブンやローソン、ファミリーマート、マクドナルドといった対象店の決済に使うと、通常ポイント(200円につき1 Vポイント=0.5%)に加えて、+2%のポイントを付与します。
さらにナンバーレスカードの場合、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルドでVisaのタッチ決済もしくはMastercardコンタクトレスで支払うと、さらにポイントが+2.5%。なんと、最大で5%還元を実現します。こう比較すると、ナンバーレスカードの優位性が際立ちます。
コンビニやファストフードが対象になっていることから、同カードは若年層に持ってほしいという狙いが見え隠れします。スマートフォンにも慣れているので、アプリでカード番号をチェックする仕組みも、そう気にならないでしょう。対して、ゴールドやプラチナカードのホルダーはミドル世代以上が多く、従来のカードに慣れているので、今回は一般カードのみナンバーレスを始めたのだと思います。
他社で言うなら、セゾンの「SAISON CARD Digital」も完全にナンバーレスのカードですが、同社も若者から人気のカード会社です。ホルダーの世代も意識して、カード会社も施策を練っているのでしょう。
–––セゾンの「セゾンカードデジタル」に続いて登場した、完全にナンバーレスのクレジットカード。セキュリティ面を考えると頼もしいカードだ。次回は、同じく三井住友カードの新たなポイントサービスを紹介する。