日産自動車株式会社は9日、同社と国立研究開発法人海洋研究開発機構、及びトピー工業株式会社が、自動運転につながる要素技術でもあるアラウンドビューモニター技術を、内閣府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の課題の一つである「次世代海洋資源調査技術」を構成する研究開発課題で実施する「ROVによる高効率海中作業システムの開発」に応用するため、共同開発契約を締結したと発表した。
アラウンドビューモニターは、クルマの真上から見ているかのような映像によって周囲の状況を知ることで、駐車を容易に行うための運転支援技術であり、日産が2007年に世界で初めて販売。その後2011年に移動物検知機能を追加する等、進化を続けている。
今回の共同開発は、SIPの課題である次世代海洋資源調査技術の実施機関であるJAMSTECとクローラーロボット開発メーカーであるトピー工業との間で進めている、資源調査用の遠隔操作無人探査機(Remotely operated vehicle; ROV)による高効率海中作業システム開発の一環として実施するもの。ROV試験機は、日産が開発した立体的な映像処理機能を加えたアラウンドビューモニター技術と障害物までの距離を正確に計測するセンサーを組み合わせることにより、あたかもROV自身を客観視する様な映像をリアルタイムで表示することが可能となる。
これにより、母船で操作するオペレーターが瞬時に海底やROVの状態を把握出来るようになり、海中作業効率の大幅な改善を狙うという。
日産は、自社で開発した技術やノウハウなどを自社のみにとどまらず、多くの分野での利用を促進する取り組みにより、技術発展に寄与していくと共に、これら無形資産の有効活用によって得られる収入を、新たな技術開発に投資することで、自社の技術開発力を高めていくという。