連続生産されているV8設計のエンジンの中で最も長く使用されてきたベントレーの6 3/4リッターV8エンジンが、6月2日をもって手作業での製造工程を終了した。60年以上にわたり生産され、1959年に製造された最初のバージョンと同じ構成とボア間隔で作られた、最後のLシリーズエンジンは、最後のミュルザンヌ 6.75エディションbyマリナーに搭載され、その生涯を過ごす。このビスポークシリーズは、ミュルザンヌの生産の最後を締めくくるもので、専用バッジ、時計とマイナーゲージ表面のエンジン断面図を模したデザイン、オイルキャップのミニチュア版を特徴とするベンチレーション「オルガンストップ」など、V8にインスパイアされたディテールで、ミュルザンヌの象徴的なエンジンの最期を祝している。
製造部門の取締役会メンバー、ピーター・ボッシュ氏は次のようにコメント。「当社の由緒ある6 3/4リッターV8は、60年以上にわたってベントレーのフラッグシップモデルの動力源となってきましたが、このたび引退することになりました。何世代にもわたる熟練の職人たちが、何年にもわたって一つ一つのエンジンを丹念に手作業で組み立ててきたことを、私は非常に誇りに思います。このエンジンがこれほど長い間、時の試練に耐えてきたのは、エンジンをよりパワフルに、より洗練された信頼性の高いものにし続けた独創的なエンジニアたちのおかげです。今、私たちはベントレーの未来を楽しみにしています。比類なきW12エンジン、スポーティな4.0リッターV8エンジン、そして効率的なV6ハイブリッドの搭載は、電動化への旅の始まりとなります。」
1950年代にベントレーのエンジニアチームによって設計されたLシリーズV8は、それまでの直列6気筒エンジンとは一線を画すパフォーマンスを実現するために設計されたもので、1959年のベントレー S2に初めて搭載された。
過去60年間に製造された36,000台のLシリーズのすべてのエンジンは、ベントレーのクルー本社内のエンジン工場で、すべて手作業で製造された。なお、最新のエンジンも15時間かけて製作され、主要な内部部品を個別に選択したバランス取りが行われている。