ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

PATEK PHILIPPE/パテック フィリップ
世界最高峰と称賛される時計の真価とは

エンリッチ パテック フィリップ

時計立国スイスが世界に誇るパテック フィリップが昨年、創業175周年を迎えた。ジュネーブ郊外にあるパテック フィリップ本社で開催された、この記念式典に出席させて頂くことで、また時計や文字盤の製造を取材することでパテック フィリップがなぜ、時計の世界最高峰なのか? また、その真価について体感した事柄について述べてみたい。

ヴィクトリア女王やチャイコフスキー、ジェームズ・ウォード・パッカードら王侯貴族や歴史に名を残す芸術家、自動車王など稀代の実業家たちにこぞって愛用され、現代のオークションでは時計の最高額を更新、全世界の時計愛好家たちを魅了し続ける。

こうしたパテック フィリップは、創業から現代に至るまで家族経営を貫き、「世界最高の時計を作る」という企業哲学も揺らぐことはない。時計のビッグブランドであるにもかかわらず、年産数万本。レギュラーモデルも希少性が高く、入手できたオーナーの満足度は永続する。

昨年の式典にも錚々たるゲスト達が足を運んだ
昨年の式典にも錚々たるゲスト達が足を運んだ

ケースなどに使用する貴金属素材の割金から鋳造、心臓部であるムーブメントの開発から製造、他の高級時計よりも相対的に、更にひと手間をかけて仕上げる美しく深みのある文字盤や針。これら全てを自社で製造する。パテック フィリップは、高級時計のマニュファクチュールなのだ。宝飾モデルに使用されるダイヤモンドといった宝石も、ジュエラーよりも先に、極上品を厳選して大量に購入しているとも聞く。

さらにパテック フィリップは、製造後150年を超すような自社製品のメンテナンスも受け付けている。それは歴代王侯貴族らの名も刻まれる顧客台帳や、創業時からの設計図や工具を保管すると共に、技術などの人的財産も継承されているからこそ可能となる。

時計の歴史およそ400年を遡る博物館もジュネーブに所有しているが、ここにある人類の文化遺産ともいえる貴重なタイムピース、建物、本社、ファクトリーなど、その全てをフィリップ・スターン名誉会長、ティエリー・スターン社長を筆頭とする経営者一族が所有する。しかも無借金経営。

ゆえに銀行や投資家の顔色をうかがう必要もなく、時計の革新における研究開発、最良の時計作りに専念できる。パテック フィリップが独立マニュファクチュールとして唯一無二の存在たるゆえんがここにある。

松田 朗

Return Top