ゼロから設計するEVモデル
随所に際立つベントレーらしさ
ここからは、EXP 100GTの特異性をチェックしていこう。まず、同車のプラットフォームはEV(電気自動車)であることも含め完全自動化されていて、ゼロから設計。それゆえ、大胆なアイデアが随所に盛り込まれている。
目を引くのはボディサイズの大きさだ。全長5.8m×全幅2.4mのサイズで、現在ラインナップされているベントレー各モデルと比べても、かなり際立つ。かつ、左右のドアはシザーズ(跳ね上げ)式で、その長さはおよそ2m。フルオープンにすると3mほどになるだろう。圧倒的な存在感とアクセスの良さの両面を実現した。一方、軽量アルミニウムとカーボンファイバーを用いた車両の重さは1900㎏で、相当の軽量化図っている。
また、EVというとトルク不足や航続可能距離に疑問が浮かぶが、EXP 100GTに搭載されたのは最大トルク1500Nmを発生する4基のモーター。次世代型のトルクペダリング機能により、0→100㎞/h加速は2.5秒以下、最高時速は300㎞/h、そして航続距離は最大で700㎞になるという。
エクステリアデザインにベントレーらしさを漂わせることも忘れていない。例えばリハハッチはR-Type Continentalを彷彿とさせ、グリルを覆ってしまいそうな丸目ヘッドライトにはBentley Blowerの面影が。レジェンドモデルのルックスを受け継いでいて、一目でベントレーだとわかる。
また、随所に散りばめられた美しいアイテムは銅やアルミニウムといった、環境にやさしい素材で作られているのもポイントだ。これも、創業者のウォルター・オーウェン・ベントレーが発明した航空機エンジン「BR1」のためにアルミニウム合金を使ったピストンを開発したことが想起される。
心憎いのは、光による演出。一見するとスマートなデザインで光溢れるマトリクスグリルとフライングBマスコットに目を奪われるが、車体に近づくとグリルからマスコットへと光が走り、その光がボンネット中央に沿ってキャビンへと到達。EXP 100GT目を覚ます瞬間を体感できる。
リアに目を移すと、トランクの馬蹄形部分は3DのOLEDスクリーンになっていて、リアライトの輝きを重なり、ここでも光の効果を生み出している。こういった、遊び心のあるこだわりも、ベントレーらしさだろう。