サステナビリティを意識した技術と素材
EXP 100GTの目玉は、サステナビリティを意識した技術革新もふんだんに取り入れていることだ。エクステリアの新色「コンパス」は秋を思わせる美しい波長を表現したものだが、特殊な顔料は、コメ作りのやっかいな副産物であるもみ殻の灰から再生されたもの。ゴミの削減に役立つ。
このほかにも、ウッドパネルには5千年前の銅が染み込んだ「リバーウッド(倒木)」を採用。ウールのカーペットは英国の牧場から取り寄せ、インテリアを彩る刺繍入りの生地はコットン。すべての素材が未来へと繋がる持続可能なラグジュアリーを作り上げ、同モデルが将来的に実現可能であることを予感させる。
先端技術としてはAIシステムの「ベントレー・パーソナルアシスタント」がユニークだ。これには、「エンハンス」、「コクーン」、「キャプチャー」、「リ・リブ」、そして「カスタマイズ」の計5種類のモードが用意され、オーナーから得た情報を基に乗員のニーズを予測し、快適性をさらに引き上げるようサポート。例えば、走行中の乗員位置にシート表面が反応し、サポートがもっと必要であることが感知されると、自動的にシートのサポートが強化されたり、エンハンスモードでは明るさ、音、匂い、大気の質などの情報が車外から収集され、ガラスルーフに覆われていてもオープントップのような開放感に満たされる、調和のとれたグランドツアーを味わうことが可能。個人の走行データを集め、ルートに関する情報や旅についての提案、周辺で利用できるラグジュアリーな施設なども紹介してくれるという。
さらに、インテリジェントな「アダプタブル・バイオメトリック・シーティング」は、手動運転または自動運転に応じて温度や乗車位置、環境条件などを3通りに設定し、走行中の快適性を担保。自動運転の場合はステアリングホイールを格納し、シートを後退させるといった徹底ぶりには驚かされる。
このように、近未来のモビリティの在り方を形にした、EXP 100GT。ベントレーが今後目指すべき、方向性も示唆した格好だ。実装化に期待を寄せたい。