いまベントレーが売れている
あまり話題になっていないかもしれないが、いまベントレーが売れている。10月に彼らが発表したリリースによると、今年1月から9月までの全販売台数は7786台。前年同期の19%アップとなっている。
国別でみると、第一位はアメリカ、第二位は中国、第三位は英国となる。高級車カテゴリーでいえば、まま順当なところだろう。この他ではヨーロッパで唯一景気のいいドイツや中東で人気が高い。
日本はというと、ここでも数字を稼いでいる。前年比46%増の207台だそうだ。10月から12月の数字を足せばさらに比率は上がるであろう。ただ2006年に樹立した500台オーバーという数字に届かない。それでも、リーマンショック、東日本大震災からの落ち込みからは脱しつつある。
そんな状況の原動力になっているのは、2ドアモデルのコンチネンタルGT V8Sと4ドアのフライングスパーV8。エリアによって特徴はあるものの、ニューモデルとなるこの辺の役割は大きい。
それを鑑みると、プライスレンジの広がりによるマーケットの拡大が行われたことが想像できる。特にフライングスパーV8は大きく貢献したことだろう。車両本体価格はなんと1890万円。消費税抜きで1750万円となるから驚きだ。
これは2004年に2ドアのコンチネンタルGTの発売が開始されたのと同じくらいセンセーショナルである。当時も“あのベントレーが2000万円を切った!”というところで話題をさらった。なんたってそれまで4000万円オーバーしていたベントレーが、半額になったのである。これでメルセデスのSクラスやBMW7シリーズに乗っていたユーザーも手が届く存在となった。
ただ、いままでのベントレーのクルマづくりではそれは不可能。そこでフォルクスワーゲン的コスト管理の上での技術革新と製造方法が投入された。バンク角の狭いW12エンジンはまさにその産物といえよう。そして見事目論みは成功し、今日に至る。その意味では2000万円を切ったフライングスパーV8もまた、あれから10年経ったマーケットへのカンフル剤と考えられそうだ。
では、フライングスパーV8とはどんなクルマなのか。少しばかりそのキャラクターに言及してみたい。