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ヤマハ HARMO (ハルモ) 
マリンビークルも電動化へシフト

先進技術で高い静粛性と操作性を実現
「プロペラの音が聞こえない」との声も

「HARMO」はどういった操船システムなのか。前島氏は次の3点を強調する。

特長①:モーター駆動にリムドライブ方式を採用
特長②:大舵角のステアリング機構による旋回性・回頭性の高さ
特長③:最新の操船部品による直感的な操作

従来の船外機は、エンジンを水上に配置し、駆動による回転運動を減速ギアやドライブシャフトなどを通じて水中にあるプロペラに伝えるという仕組み。ギアの接触音や振動が発生するのは当たり前とされてきた。対して、リムドライブ方式はプロペラの先端をつないだリム(縁)の位置でモーターを回転させることで効率的に推進力を得る仕組み。「外周のリム部にコイルを配置、内周のプロペラ部にマグネットを搭載し、電流を流すとコイルと磁石が吸引・反発してプロペラが回ります」

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リムドライブ方式にはギアがなく無接点でプロペラを回し、騒音源のモーターは水中にあるので圧倒的に静か。「他の電動推進器の中でも突き詰めた静粛性を狙っていて、開発時は静かすぎて音を計測できなかったほどです。洋上では波の音しか聞こえず、動力なしで進むような感じでした」

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リム(縁)の位置でモーターを回転させるので、小さな力でプロペラを回すことができる。同じサイズのボートが同じ速度を出そうとした場合、他の製品に比べると「HARMO」の方が使われる電流が少なくて済むという。エネルギー効率が良く、エンジンタイプの船外機では難しかった低速での強い推進力を出しやすい。モーター出力は3.7kwで、ガソリンエンジンの9.9馬力の推進力に相当する。

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さらに、ステアリングは大舵角で、ボートはその場で回頭することが可能。ジョイスティックを使ったシンプルな操作により簡単に操船でき、「ひとつのボートに推進器を2つ設置する2機掛けの場合は、ジョイスティックを横に倒すだけで横方向へ移動でき、難しい着岸をサポートします。将来的には操船系の新機能を追加できるなど、次世代における電動操船システムのプラットフォームになることを目指しています」と前島氏は語る。

AC100ボルトで充電ができ
耐久性に優れメンテナンスフリー

「HARMO」を1機掛けする場合は全長6~7m、2機掛けなら全長10~11mのボートに搭載するイメージ。

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組み合わせるのは電圧48ボルトの鉛のバッテリーで、充電はAC100ボルトのコンセントでできる。バッテリーが空っぽの状態だと夜間充電で満充電が可能だ。

「クルーザーのエアコンなど、マリンビークルは従来から充電ニーズがあり、マリーナの桟橋には設備が用意されています。『HARMO』は特別な設備は必要なく充電できるので、面倒な手間はかかりません」

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障害物との接触も想定のうえ設計したので耐久性も高い。「既存のエンジンは海水で冷やしたり、真水で洗うフラッシング、オイル交換や燃料フィルターの掃除など、定期的なメンテナンスが求められます。ところが『HARMO』の場合、そういった作業は一切必要ありません。定期的なグリス塗布とアノード交換くらいです」

エンリッチ編集部

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