フェラーリが“数字好き”なワケ
このように見てみると、フェラーリはそのアイコニックイヤーたる数字を口実にしたイベント開催に対して実に熱心であることが解る。
ハイパフォーマンスカー・マーケットの王者であるフェラーリは、単なる賑やかしの為ではなく、ブランディングに対する緻密なプランを持ってイベントを開催する。ブランドの価値を高め、それと同時にしっかりと売り上げを確保するのだ。
フツウの自動車メーカーなら日常的に行う拡売バーゲンセールという単語は、フェラーリの世界には存在しない。この真意は当連載で追って語らせて頂くが、フェラーリは基本的に顧客に売り込むものではなく、顧客が自ら買いに来るものでなければならない、という根本的なマーケティング・ポリシーを彼らは持っている。であるから、○○周年イベントといったフェラーリマニアが食指をそそられるような企画を設けては、そこで、さりげなくニューモデルを”お勧め”することになる。
ロイヤリティの高い顧客へコンタクトを取るきっかけ作りには、このように“数字”はうってつけだ。世界中に解りやすくアピール出来、その主旨に対する解釈の違いが起こることも少ない。
こういったアイコニックイヤーに関することだけでなく、フェラーリには数字にまつわる興味深いトピックが実は多い。例えば前述のラ・フェラーリ アペルタの生産台数はなぜ209台という中途半端な数なのか、疑問に思われる方もおられるだろう。最新12気筒モデル、812スーパーファストの”812”とは何を意味するのか? どれも興味深いフェラーリの拘りだ。
そんなトピックも含め、フェラーリという存在を数字から斬っていこうと、いうのが当連載のコンセプトだ。皆様、どうかお付き合い願いたい。