“8014”台
フェラーリはハイパフォーマンスカー・ジャンルのトップメーカーであるが、彼らはどのくらいの台数を実際に作っているのだろうか。昨年の年間生産台数(全世界)を調べてみるなら、それは8014台だ。昨年全世界トップを抑えたトヨタの1015万1000台や、それに追従するVWの993万台とそれを比較するなら、トップ集団の誤差のようなレベルだ。昨年の日本におけるポルシェの販売台数(7322台)と変わらないくらい、少ししか作られていないのだ。
言うならば、フェラーリは北イタリアの田舎であるモデナ近郊マラネッロの中小企業といってよいだろう。
2900人あまりの従業員が開発から製造までを行い、その中のかなりの割合がF1関連の担当者であるから、市販車に関してはごく僅かな人間が関わっているに過ぎない。私たちが想像する自動車メーカーのオートメーション生産ラインとは全く異なった、牧歌的な製造プロセスがそこでは今も健在なのだ。
フェラーリのボディには“ピニンファリーナ”のロゴが光り輝いていたが、少し前のフェラーリにはデザインセンターすら存在しなかった。新しいモデルのコンセプト作りに関わる部分も含めてピニンファリーナへアウトソーシングしていたワケだ。また、フェラーリの本拠地であるマラネッロ周辺には、かつてフェラーリで腕を振るった名職人達が独立して開いた小さなファクトリーがたくさんある。それらも同様に現在のフェラーリの開発、製造において重要な役割を果たしている。