カザフスタンの中央銀行総裁がリッツ・カールトンの宿泊代を肩代わり
E:お話しできる範囲でいいので、これまでにお会いした世界の要人を教えてください。
苫米地「師匠のルー・タイスといっしょにメキシコのビセンテ・フォックス大統領(※3)に会いに行ったときは、彼の家の近くまでプライベートジェットで飛んでいったね。この前もカザフスタンの中央銀行の総裁と会って、通貨の話をしてきたよ。カザフスタンはアメリカのドル圏に入るのか、ロシアのルーブル圏に入るのかの選択を迫られていて、もうひとつ中国の元のプレッシャーもある。日本としても安倍総理の言う“地球を俯瞰する外交”ということで、東アジアも重要だからこれからは円も推さなければならない。カザフスタンは、ドルとルーブルと元の狭間に立ってる国なんだ。俺は政府になにも言われてないけど“これからは円でよろしく”って言ってきたよ。当然、政府からは一銭ももらってない。自分の金を使って、自分でアポ取って会いに行ったから。政府経由で行っても誰も会ってくれないしね。俺は政府にたよらないルートを持ってるから。そのときにカザフスタンの民族楽器をプレゼントされたから、一夜漬けで覚えて自分のライブで演奏して、それをビデオに撮って総裁に送ってあげたよ」
※3 ビセンテ・フォックス=ケサーダ。メキシコの第55代大統領。在位期間は2000年12月1日から2006年12月1日。
E:それは粋な計らいですね(笑)。
苫米地「ちなみに、そのときのホテル代は向こうが払ってくれたよ。カザフスタンのリッツ・カールトンのスイートに自分で予約して泊まったんだけど、チェックアウトするときに、これはもう中央銀行が払ってますって言われて。中央銀行だから通貨は刷ればいいわけだから、まあいいかなって(笑)。普通はホテル代も自分持ちだから」
ヘリコプターに乗ることで見えてくる現実とは
E:苫米地さんの専門の認知科学の観点から見て、ヘリコプターに乗ることはどんな意味がありますか?
苫米地「いろいろ意味はあると思うよ。うちの父親の趣味がジオラマなんだけど、実家の俺がいた部屋からリビングルームからみんな電車が走ってる。山とか学校とか街が部屋に広がってるんだけど、ヘリに乗って街を見下ろすとまさにジオラマそのものだね。本物の街も上から見るとおもちゃ。小さいジオラマが並んでるみたい。本当、ジオラマってよくできてるなと。ヘリに乗って上から街を見れば、どれだけ小さいところにみんなうごめいて自民党だの民主党だのやってるの?みたいな。国会議事堂だって空から見れば小さい点だよ(笑)」
E:セラピーの一種に箱庭療法というものがありますね。
苫米地「そうだね、箱庭って感覚もあるかもしれないね。心にはいいよ確かに。少なくとも人間性はおおらかになると思うよ。あとは現実を知るいい機会になる。初島に行くときは厚木基地のそばを通るんだけど、東京の西側の空の制空権は全部アメリカが握ってるんだよ。近くまで行くと、航空管制官に止まるように言われるからホバリングで待ってると、滑走路から2つの煙がひゅーんって上がってきて、目の前をものすごい勢いで通り過ぎるんだよ。なにかというと、2機の戦闘機が滑走路からくっついた状態で飛んでくるの。あれ、わざとやってるんじゃないかなって思うよ。あの東京のヘリに乗ってるのは苫米地だな、よしちょっと目の前を通って脅かしてやろうぜ。ケンカ売ったってアメリカにはかなわねえぞって(笑)。マッハのスピードで飛んでるから一瞬で消えてなくなるけど、とても同じ乗り物とは思えないね。あれを見ると、日本の空はアメリカのものだということをいやというほど知るわけ。普段我々は小さい空間で暮らしてるからわからないけど、空を見た瞬間に東京の空は日本のものじゃないってことがわかる」
E:なんだか、苫米地さんの話を聞いているとマンガの世界のようなエピソードが多いですね。
苫米地「そうかな(笑)。まあ、お金の話はあまりよくわかってなくて。いくらかかってるのかも知らないし」