自らヘリコプターやジェット機を操縦するパイロットでもある株式会社アルペン代表の水野泰三氏に空を飛ぶ魅力を聞くこの企画。飛行免許を取得したきっかけについて伺った前編(前編を読む)に続き、話はプライベートジェット機や、ヘリ免許を取得する際の注意点、日米の航空事情の違いにおよんだ。
ヘリコプターを経てジェット機へ
数々の飛行機とヘリコプターを乗りこなしてきた水野社長が、次なるステップとして選んだのはプライベートジェット機だった。
「ジェット機の免許を取ったのは10年くらい前。やっぱり、ヘリにもプロペラ機にも乗ってたら、最高峰のジェットは魅力に感じますね。昔から夢もあったし、何よりスピードが速い。800kmくらい出るし、多少の悪天候でも飛べるから運航率がいい」。
「ただ、ジェット機は免許を取るのが本当に難しい(笑)。僕のジェット機は法的に1人で操縦できる最高峰の機体で、これ以上大きくなると副操縦士が必要。さらにジェット機を操縦するには計器飛行証明が必要。当然、訓練には機体を貸してくれるところもないから、自分で先に機体を買って教官雇って訓練を受けて。必死に訓練を受けて、教官から試験を受けていいとお墨付きをもらったら、今度は国土交通省の試験管に電話をして来てもらって試験を受ける。僕の場合は先に機体を買ったから絶対に取ってやる、という気持ちがあったけど、それがなかったら途中であきらめてたかもしれない。それくらい難しい(笑)」。
水野社長がジェット機の免許を取るために雇ったのは、過去300人以上の生徒を受け持って1人として不合格者を出したことがないという、鬼教官と恐れられている教官だった。
「自分が落ちたらその人の記録がダメになってしまうから、勉強しなきゃいけないというプレッシャーがかかる。スパルタだから夜中でも試験に関するメールが来て、すぐに答えないとダメ。寝てようと何してようとすぐ答える。そんなメールが1日何十通と来る。(笑)。」
「車乗っていても口頭試問してくるんですけど、停止して答えちゃダメ。飛行機は800kmで飛んでるんだから。実際の試験では飛行機を操縦しながら試験管は質問してくるから、お経のように答えられるようになるまでやる。彼がいなかったら受かってないかもしれない(笑)」。