屋上に時計塔を擁した和光といえば、誰もが知る銀座のシンボルだが、その4階に、紳士服専門のフロアがあり、セレクトショップ顔負けのファッショナブルな紳士服が、フルラインナップで揃えられていることは、あまり知られていない。そこには古くからの馴染み客と、最先端のファッショニスタが、肩を並べて通い詰める、エクスクルーシブな空間があるのだ。
そんな和光・紳士服フロアの“コンシェルジュ”に、銀座ならではのスタイルと、今季のおすすめコーディネート、そしてここでしか買えない限定アイテムを紹介していただいた。銀座がかつて“ハイカラな街”と呼ばれていた頃の残り香が、ここにはいまだに漂っている。
今回の Concierge
遠藤大輔さん(和光紳士用品売場アシスタントマネージャー)
2003年和光入社。外商担当を経て、販売担当に。お客様の平均年齢は50〜60代、多くが社会的地位の高い方という難しい顧客層の好みを知り尽くしている。言葉遣い、そして身なりは、あくまでジェントル。現在ではジャケットスタイルもOKとなったが、以前までは、売場に立つときは、スーツ着用であったという。
Q
「どのようなお客様がいらっしゃいますか?」
A
「社会的に地位の高い方。平均年齢は60歳くらいです」

——和光といえば、誰もが知っている銀座のシンボルだと思いますが、その4階に紳士服フロアがあることは、あまり知られていないのではないでしょうか。とてもエクスクルーシブな雰囲気がありますね。銀座の真ん中に、こんな空間があるのは、ちょっとした驚きです。床がカーペット敷きなんですね。これは珍しい。店内が静かな気がします。絨毯が音を吸収するからではないでしょうか?
「なるほど、言われてみると、この規模のお店で、絨毯は珍しいかも知れませんね」
——どんなブランドが人気でしょうか?
「オーダーを除くと、ジャケットではボリオリ、ラルディーニ、エルネスト、イザイアなど。パンツはロタ、インコテックス、ヴィガーノ、PT01あたり。シャツはルイジ ボレッリ、ソンリーサやバグッタ、タイはステファノ・リッチ、ティノコズマ。そしてシューズはジョン ロブでしょう」
——まさにセレクトショップ顔負けのラインナップですね。
「和光として営業を開始したのは1947年ですが、その母体、服部時計店の創業は1881年で、現在の場所で営業を開始したのは1895年のことです。当時から時計塔はあり、もともとは海外からの珍しい物を扱うセレクトショップのような存在だったそうです。ですから、今のわれわれがセレクトショップ風の品揃えだったとしても、何の不思議もないのです」

——お客様はどういう方が多いのでしょうか?
「他の店に比べると年齢層は高いと思います。平均は60歳くらいでしょうか。それから社会的地位の高い方が多いのも特徴です。われわれも接客の際には、身なりや言葉遣いには、特に気を付けています。常連の方が多くて、毎週通って来られる方もたくさんいらっしゃいます。親子二代に亘って、通ってくださる方も多いですね」
——銀座という場所柄について、何か特色はありますか?
「銀座のスタイルとは、華美になりすぎないものだと思います。シンプルで洗練された好みなのです。お客様も平日は6、7割の方がスーツをお召しです。また、ご進物の需要が多いのも、銀座の特徴でしょう。一度にネクタイを何本も買われていく方も少なくありません。これはもちろんプレゼント用でしょう」

——年齢層の高いお客様を相手にするにあたって、気をつけていることは何ですか?
「年齢の高い方ですと、体型的に恰幅のいい方が多いですから、そういった方々にも十分対応できるような品を揃えています。例えば現在はノータックのパンツが主流ですが、当店ではいつもタック入りのパンツを揃えています。しかも裾幅は20センチくらいと細く、ゆったりしているのに今風に見えるようなパンツをご用意しているのです。それから当店では、ありとあらゆるアイテムをオーダーしていただくことが出来ます。ですからどんな体型の方にもご満足いただけると思います」