Q
「どうやって採寸をするのですか?」
A
「まずリラックスしてもらうこと。そして特別なデバイス(測定器具)を使います」

——採寸される時に、大切なことは何でしょうか?
「まず、一番大切なことは、自然な状態で立つということです。アメリカ人でも、よく採寸となると、胸を張って、いい格好をしようとする人が多いのです。ですからジョークを言って、リラックスしてもらうよう心がけています。ウチの場合、まず上を含めた上半身の全周を測ります。これはヨーロッパでもなかなか測らないかもしれませんね。それからお尻だけでも、3カ所測ります。脹ら脛や腿、手首など、全身で30カ所以上測ります。O脚やX脚も、ある程度なら補正できますよ」

——普通のテーラーでは、あまり見かけない器具を使うのですね。
「デバイスという専用の器具を使って、肩や背中の傾斜や股上なども測ります。これはトム・ジェームス・オリジナルの器具です。またipadで前・横・後ろの写真を撮って、より正確に体型を掴むよう努力しています」

——アメリカだと、体型のバリエーションが凄そうですね。
「そうなのです。アメリカ人だと信じられないくらい大きな人や、太っている人がいますから。特に中西部の北欧系の人など、ベルトがびっくりするほど長い(笑)。メジャーは通常の倍の長さのものを使います。また黒人の方はお尻がプロミネント(出っ張っている)なので、バックライズを深く取らないと入りません。逆にユダヤ人の体型は、日本人に似ていると思います。ニューヨークやシカゴなど、大都市圏の人々のウエストは、以前と比べて小さくなりました。ほとんどのエグゼクティブが、仕事が終わった後、ジムに通っています」

——生地選びで迷ったら?
「ご覧のように生地見本をを腕部分に当ててみると、仕上がりの感じが想像しやすいですよ。そのために、やや大型のスワッチも携行しています」
——女性の方の顧客もいるのですか?
「女性の方もいらっしゃいます。女性のエグゼクティブも多いですからね。ブラックのストレッチ素材を使ったスーツなどが人気です。女性らしく、裏地には華やかな色を持ってくることが多いですね。最近ワンピースも扱い始めました」