Q
「南青山スタイルとは、どんなものですか?」
A
「デザインやコーディネイトはごくシンプル。しかし素材と縫製にはとことんこだわります」
——南青山ならではのスタイルとは、どんなものでしょうか?
「南青山・・というかシャロンならではのスタイルはありますね。デザインとコーディネイトはごくシンプル、その代わり素材と縫製にはとことんこだわります。具体的には、スーツは無地が基本。そしてポケットチーフはしない。これはジャケットの素材や縫製を、より浮き立たせるためです。それからタイはソリッドが多い。私自身は、ネイビーかブラウンの無地タイしか締めません。シャツも白が基本です。いいモノを追求していくと、どんどん余計なものを削ぎ落としたくなっていきます」
——スーツでおすすめは?
「シャロンでは4つのブランドを展開しています。オーセンティックでベーシックなナポリの“サルトリア・ソリート”、モード感が強い“シャマット”、土着的なナポリのサルト“アルフォンソ・シリカ”、そして日本の直井茂明さんがクリエイトする“Sartoria Naoi”です」
——直井茂明さんの作るスーツの魅力はどんなところですか?
「直井の服には、日本のいいところが詰まっています。細かくて、きちんとしていて、着心地もいい。イタリア製は雑なものも多いのですが、日本人は決して手を抜きませんから。基本的にシャロンに常駐しているので、いろいろと小回りが利きますし、日本語でコミュニケーションできるのも大きなアドバンテージだと思います。ただし、現在あまりにもご注文を頂いていて、納期に1年ほどかかってしまうのです・・本当に申し訳ありません」
——おすすめのジャケットを教えて下さい。
「ソリートのサファリ・ジャケットはいかがでしょうか? お客様から『ちょっと変化球も欲しいね』というリクエストを頂いて作ってみました。サファリとは言っても、ごくクラシックなものです」
——タイでおすすめは?
「タイはジュスト・ビスポークのものが最高です。フィレンツェのメーカーで、ドディチ・ピエゲ(12折り)のタイを得意としています。しっかりとしているにもかかわらず、ノットを小さくまとめられるところがいいのです」
——シャツはいかがですか?
「色は白とサックスブルー、ブランドはナポリのモンテサーロやジ・イングレーゼなどがおすすめです。シャロンのシャツはほとんどカッタウェイ・カラーと呼ばれる水平に近い襟となっています。ウチで扱うジャケットがラペルが大きめでゴージラインが高いため、こういった形が似合うのです」
——冬のコートでおすすめは何でしょう?
「本格的なポロコートは、やはり一着は持っていたいアイテムです。それから最近ではショート丈を好むお客様が多いですね。これは日常的にクルマに乗られる方が多く、運転に向いているからだと思われます」
——カジュアル・アイテムでのおすすめは?
「シャロンが扱うカジュアル・アイテムは、そのほとんどがカシミア、もしくはカシミア×シルクなどの素材です。ウール製は少ないですね。デザインはごくベーシックなもので“10年後も着られるもの”ということを念頭にセレクトしています。とにかく高品質を追求しているのです。バイイングする時は、どこへ行っても『もっといいモノはないのか?』というセリフを呪文のように繰り返しています(笑)」
——シューズでおすすめは?
「靴職人・久内淳史さんが作る“イル・クアドリフォーリオ”はいいですよ。フィレンツェのウゴリーニの愛弟子で、日本人独特の精密さとイタリアっぽい色気を併せ持っています。彼の作るものは、とにかくキレイなんです」
——他に、小物などで「これは」というものはありますか?
「クロコダイルで出来た小物を好まれる方が多いです。ピカピカのシャイニータイプではなく、マットなクロコがおすすめですね」
——最高級のマフラーといえば、アレがありますよね、ええと・・・
「ビキューナですね。ペルー原産で、獣毛としては世界最高級と言っていいでしょう。ポピュラーなのは、マフラーやストールですが、ス・ミズーラでコートやジャケットをお仕立てになるお客様もいます。もちろん数百万円コースですが(笑)」