Q
「今シーズンおすすめのスタイルを教えて下さい」
A
「カモシタを中心に、注目の5つのスタイルをご提案します」
【おすすめスタイル1】
春夏にもツィードを着る
——それでは、具体的に今季おすすめのスタイルを教えて下さい。
「まずはチェックのジャケットを中心としたコーディネイトです。サマー・ツィードとでも言うべき、ざっくりとした素材感を持っています。このように表面がザラザラしているものは、今までは秋冬の素材に多かったのですが、今シーズンは、春夏でも多く見られます」
——チェックのジャケットは、着こなしが難しそうに思えますが・・
「全身を同じトーンでまとめるとうまく行きます。この場合はブラウン系ですね。それからチェックに使われている色を、他のアイテムで拾うと、全体がまとまってうまくいきます」
——ポイントはスカーフですね?
「襟付きのシャツではなく、素肌にニットを着て、ジャケットを羽織るというコーディネイトが流行っていますが、何か物足りなくなりがちです。その場合、首元にスカーフを巻くのがおすすめです」
——巻き方は、どうすればいいのですか?
「細長く折り畳んで、一重に結べばそれでいいんですよ。いかに無造作に見せるかが鍵です」
【おすすめスタイル2】
春夏にもコーデュロイを着る
——次のジャケットはコーデュロイですか? これは秋冬の素材だと思っていましたが・・
「これはサマーコーデュロイといわれる素材です。生地のウエイトが軽く作られており、春夏向けなのです。手触りも全然違いますよ」
——本当ですね。普通のコーデュロイと違って、手触りがさらっとしています。
「今シーズンは、先ほどのツィードもそうですが、表面感のある素材がトレンドなのです。今まで秋冬だと思われて来た素材が、春夏にも使われています」
——コーディネイトはどうすればいいのですか?
「春夏なので、赤青白を使ったトリコロールでまとめてみました。ちょっとマリンっぽい雰囲気ですね。トリコロールは、絶対に失敗することのない定番のカラーリングです」
【おすすめスタイル3】
英国のカントリーテイストを
——今度はベストを合わせたスタイルですね。このシャツには襟がありませんね?
「バンドカラーと呼ばれるタイプで、昨今多く見られます。昔の英国の農夫が着ていたようなタイプです。ブリティッシュ・カントリーなテイストがいま注目されています」
——合わせてあるベストはチルデンタイプですね。懐かしい!
「映画『炎のランナー』に出てくるようなアイテムです。こちらは同じ英国でも、ちょっと貴族的なアイテムです。しかし、現在のモノは昔と違って、カラーリングがヒネってあります」
——ボトムスはショーツですが、ずいぶんと太いタイプですね。
「今季は、従来のバミューダのようなスリムなショーツではなく、グルカショーツのようなボリューム感のあるものがおすすめです」
——ところで、『炎のランナー』以外にも、鴨志田さんがおすすめする映画はありますか?
「スタイルを勉強するためにいい映画はたくさんありますが、あまり古いヤツだと、一般の方は退屈してしまうのではないですか? 映画としての面白さまで考えると、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの出演した『スティング』がおすすめです。ストーリーが面白いし、出てくるスタイルもリアリティがあって素晴らしいものです」
【おすすめスタイル4】
ソラーロのスーツに挑戦する
——不思議な光沢のあるスーツですね。ベージュ、緑など、いろいろな色が混ざっているようで、角度によって色が変わります」
「これはソラーロと言われる英国の伝統的な素材です。まるで玉虫のような光沢感が特徴で、イタリアでも人気が高く春夏の定番素材となっています。私自身も大好きな素材です。このスーツはユナイテッドアローズの定番商品で、毎年リリースし、必ずヒットする人気アイテムです。今シーズンはダブルブレステッドにしてみました」
——着こなしが難しそうですが・・・
「確かに難しいとは言えますが、だからこそ魅力があるのです。ファッションでは、時に挑戦することも必要ではないですか? その点では、女性にも似ています。ちょっとクセのある美女をモノにすることによって、自分自身も成長するじゃないですか・・(笑)。実際には、シンプルな色合わせを心がければ、大抵は成功します。ソラーロは、基本的には、どんな人でも似合う素材です」
【おすすめスタイル5】
リゾートで羽織りたいガウン
——これは、まるでバスローブのように見えますが・・・
「これはフランス製の本物のバスローブです。実はファッションの世界では、ガウンやパジャマのようなアイテムを、コーディネイトに取り入れるのが流行っているのです。こういったアイテムを、スプリングコートのように羽織れたら素敵ですね」
——これで街を歩くのは、ちょっと・・・
「リゾート地でなら、気負いなく着られると思います。欧米のお金持ちのように、こういったアイテムをさらっと着られたら、とてもカッコいいですね。ぜひ挑戦してみて下さい」