ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

グローブスペックスに聞いた、いまお洒落なメガネとは?

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洋服は、あくまでも着る人を引き立てる脇役だが、メガネはかける人のキャラクターそのものとなる。なにしろ顔の真ん中に陣取って、いつも視線を浴びることになるのだから。

そこで今回は、お洒落系メガネショップの草分け、グローブスペックスの岡田哲哉氏を訪ね、最近のメガネのトレンドと、似合うメガネの選び方を教わった。加えて、40歳を過ぎたら誰もが必要となる、老眼鏡についても指南してもらう。メガネ選びは、洋服選びの何倍も大切なのだ。

*2018年10月に好評いただいた回のアンコール掲載です

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今回の Concierge
岡田哲哉さん(グローブスペックス代表取締役)

1959年 広島生まれ。大学卒業後、一旦は銀行へ就職するも、カタチあるものへのこだわりを捨てきれず、メガネ業界へ転身。大手メガネチェーンで学んだ後、1998年、渋谷に自身の店であるグローブスペックス エージェントをオープン。ファッション・アイテムとしてのメガネを提案し、その草分け的存在となる。メガネのセレクトショップとして、多くのブランドを扱い人気を博す。2017〜18年にかけて、世界最大級のメガネ展MIDOにてベストストア賞を2年連続受賞するなど、その評価は近年ますます高い。


Q

「いま現在、トレンドのメガネとはどんなモノですか?」


A

「メタル系、特にダブル・ブリッジのタイプが人気です」

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——ついこの間までは、太めのセルが流行っていたように感じるのですが?

「2年前くらい前までは、長らくセルの流行が続いていましたね。そして昨年はセルとメタルのコンビネーションのメガネが流行り、そして今年はメタルフレームが人気です。現在、メガネはどんどんと細くなっています」

——なるほど、メガネにもトレンドの“うねり”があるのですね。

「私が初めて店を開いてから20年経つのですが、2000年代は縁なしのメタルタイプが人気でした。それからどんどん太くなってセルが全盛を迎えましたが、またここ2年間くらいは、細くなって来ています」

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現在最も注目されているダブル・ブリッジのタイプ。上:ゴールドカラーのダブル・ブリッジ。3万1000円(グローブスペックス エージェント)、中:ラウンドタイプのダブル・ブリッジ。4万6000円(ルノア)、下:ブラックのダブル・ブリッジ。4万7000円(アーレム/以上グローブスペックス エージェント Tel.03-5459-8326)

——メタルでも、特におすすめはありますか?

「ダブル・ブリッジと呼ばれるモデルが、とにかく人気ですね。ブリッジが2本通してあるタイプです。昔からあるカタチですが、往年のものはレンズが大きかった。最近のものは使われているレンズが小さいのが特徴です。ここ1年ほど、扱うデザイナーも急速に増えています」

——これは誰にでも似合うものなのでしょうか?

「トレンドだから皆似合うというわけではなく、自分の個性として同じモノをずっとかけ続ける方もいます。例えば私がお洒落だと思うユナイテッドアローズの栗野宏文さんは、ずっと太めのものをかけ続けていらっしゃる。それはそれでいいのです。しかし、ダブル・ブリッジについていえば、さまざまなデザイナーが取り扱うようになって、バリエーションが増えて来ました。ですから今なら、どんな方にも似合う1本があると思います」


Q

「注目のブランドをいくつか教えて下さい?」


A

「ゲルノット・リンドナーとアーレムでしょうか?」

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こだわりの意匠と弾力性に優れたシルバー素材が特徴。ゲルノット・リンドナーのメガネたち。上:伸縮式のテンプルを持ったモデル。ケース付き8万4000円。下:スターリングシルバー製のラウンドタイプ。ケース付き。8万4000円(以上ゲルノット・リンドナー/グローブスペックス エージェントTel.03-5459-8326)

——ずいぶんとたくさんのブランドを扱っていらっしゃいますね。

「現在、40くらいのブランドを扱っています。いつの間にか、ものすごく増えてしまいました」

——その中でも、最近特に注目しているブランドはありますか?

「グローブスペックスでは、それぞれが異なる特徴を備えたブランドをセレクトしていますので、すべてのブランドがおすすめで、実際にまんべんなく売れているのですが、あえて注目ブランドを挙げるとすれば、まずはドイツのゲルノット・リンドナーです」

——どんなブランドなのでしょう?

「1990年にルノアを立ち上げたデザイナーのゲルノット・リンドナー氏が自身の名前を冠してスタートしたブランドです。氏は、アンティークのメガネのコレクタ—としても知られ、膨大なコレクションを持っています。メガネ業界の“お父さん”のような人ですね。もう20年来の付き合いになります。この店にディスプレイされているアンティークのメガネ工作機械なども、氏から譲ってもらったのです」

——やはりメタルフレームが得意なのですね?

「925スターリングシルバーを使っているところが最大の特徴です。従来のスターリングシルバーは剛性とバネ性に欠け、メガネの素材としては難しいものでした。しかし彼は研究を重ね、世界で初めて、十分な剛性とバネ性を持つシルバーの開発に成功したのです」

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デザイン性に優れたアーレムのコレクション。上:ダブル・ブリッジ4万8000円、中:サングラス5万2000円、下:メタルフレーム4万7000円(以上アーレム/グローブスペックス エージェント Tel.03-5459-8326)

——もう一つのブランド、アーレムは?

「アーレムはアメリカのブランドですが、デザインしているのはフランス人の女性です。旦那さんがアメリカ人で、現在はロサンゼルスに住んでいます。製造はフランスで行われています」

——その特徴はなんでしょうか?

「フランスと西海岸のよさを併せ持つブランドです。もともとファッションの世界でキャリアを積んだ人なので、ファッション・アイテムとしてのメガネをデザインするのが上手です。メガネをアクセサリーのひとつと捉えているところがありますね。コーディネイトに取り入れ易いメガネだと思います」

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上:ボストン(仏語でパントゥ)と四角い王冠(クラウン)を合わせたクラウン・パントゥと呼ばれるモデル。1960年代のフランス製。4万5000円(レスカ・ヴィンテージ)、中:1960年代のアメリカで作られたウェリントン型。7万2000円(ザ・スペクタクル)、下:1930年代のメタルフレーム。ノーズパッドはベークライト製だ。7万1000円(ザ・スペクタクル/グローブスペックス エージェント Tel.03-5459-8326)

——最近、ヴィンテージのメガネをかけている人が多いように思いますが・・

「20年前のオープン当時からずっと扱っているので、今さら流行っているかどうかはわかりません(笑)。しかし、ずっと一定数のファンがついているのは間違いありませんね。一度ヴィンテージを手にされると、次もヴィンテージという方が多いのです」

——その魅力はどんなところにあるのでしょう?

「今のものとは、製法、素材、ディテールなどが違うのです。例えばセルタイプは、いまはCADとNC加工機ですが、昔は、今はもう使われていないスタンピングマシンで、プラスチックの板を打ち抜いて作っていました。だからフランス製のものなどは、すごくエッジが立っているのです。逆にアメリカ製のものは木のチップを入れたドラムの中で丹念に研磨されており、ぬめりとした独特の質感があります。いずれにしてもヴィンテージのメガネには、時を超えたオーラのようなものを感じます」

松尾健太郎

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