Q
「高級品にはどんなものがありますか?」
A
「博物館級のものもありますよ」
——メガネの世界で高級品というと、どんなものになりますか?
「バッファローホーンは高級素材だといえます。水牛の角ですね。まず色がいい。白から黒までさまざまなものがありますが、大量生産の工業製品では出せない複雑な色味を持っています。それから天然素材なので、人の肌に馴染むのです。かけるとしっくりくる。ただし加工するのが難しい。例えば、白い水牛に黒い模様が入っている場合、黒い部分がメガネの下側に来るとすごく変なのですが、そこはウデのいい職人がうまく考えて切り出しているのです」
——一番高いのは、どのモデルですか?
「ヴィンテージの貴重なものは、それなりの値段がしますね。中には50万円以上するものもあります。1920〜30年代のもののなかには、とても希少性が高いモデルもあるのです。弊社では“ミュージアム・ピース”として取り扱っています。当時、第一次世界大戦の影響で宝飾職人が食えなくなり、メガネの世界に大量に移って来たことがありました。そこで彼らの技術を活かし、素晴らしい彫金が施されたメガネが生み出されたのです。またノーズパッド(鼻当て)はアメリカン オプティカルという会社が発明したのですが、当初はフレームと同じ金張り素材でパッドが作られていました。これもまたレアものです」
Q
「似合うメガネの選び方を教えて下さい」
A
「店員さんに客観的に選んでもらうことです」
——どうやったら、自分に似合う1本が見つけられるでしょうか?
「よく顔のカタチによって似合うメガネはこれ、といった方程式みたいなものがあるとされていますよね。しかし、一人の人に似合うメガネは決してひとつではなく、実はいろんなカタチが似合うのです。それよりもどういうイメージを作り出したいかをはっきりさせることが重要だと思います。スーツでシャープに見せたいのか、カジュアルでリラックスした自分を演出したいのかで、メガネ選びは変わって来ます」
——なるほど、具体的にはどうすればいいでしょう?
「コツは、自分で選ばないことです。一人で見ていると、わからなくなってしまう。一番いいのは、信頼出来るショップに行って、店員に客観的に選んでもらうことです。その際、自分がどういう立場の人間なのかを伝えるといいと思います。キチンと見せるべき職業なのか、逆に話しかけられやすいように柔らかいイメージにしたいのか・・。グローブスペックスでは、お客様の人となりを考えてメガネをご提案するようにしています」
——なるほど、メガネ選びは個性作りですね。
「あと、あまり鏡に張り付くようにして見るのはよくない。そんなに近くで人の顔を見る人はいないですから。できれば全身で見る方がいいでしょう。また奥様やごく親しい友人に聞くのもほどほどに。本人と同じような目線になってしまっているからです」
——意外なものが似合うこともあるのでしょうか?
「例えばお客様が『メタルで』と言われたら、必ず違うタイプのメガネも薦めるようにしています。自分では思いもかけなかったメガネが、実は意外と似合うことも多々あり、それに決める方も多いのです。最近では、『とにかく似合うものを見繕ってくれ』という方も多いですね。『岡田が何を持ってくるか、見てやろう』と(笑)」
Q
「メガネ関連のアクセサリーで、おすすめのものはありますか?」
A
「グラスホルダーはいかがでしょう?」
——アクセサリーで、おすすめのものはありますか?
「ロサンゼルスのラ・ループが出しているグラスホルダーがいいですよ。テンプルに引っ掛けるグラスコードと違って、輪の中にメガネを引っ掛けるタイプです。ヒンジがついていて、メガネがくるくると回ってしまわないように出来ています。プラスチック、レザー、シルバー、石系など、何十種類ものバリエーションがあります。かけたり外したりが多いサングラスや老眼鏡には、特にいいですね」