Q
「他にも何か定番といえるアイテムはありますか?」
A
「シップスの大ベストセラーをご紹介します」

——他に何か大定番といえるものはありますか?
「年間1千〜2千個、累計だと1万個以上も売れた大ベストセラーがあります。それがシップス別注のトゥミです。トゥミはアメリカの世界的に有名なバッグ・ブランドで、多くのポケットがついた機能性と、耐久性に優れたバリスティックナイロンで知られています。20年間も同じものを使い続けている人もいるほどです。壊れないんですよ(笑)。通常モデルはブラックなのですが、シップスで別注したものはカラーがネイビー仕様となっています。通常赤のロゴも、ホワイトです。これはシップスでしか手に入りません。いまでもモデルによっては、2〜3ヶ月待ちの状態が続く、大人気商品です」

——そちらのトランクはグローブ・トロッターですね?
「はい。グローブ・トロッターを紹介したのも、日本ではシップスが最初だと思います。かつてシップスのPRだった故・中澤芳之さんと現グローブ・トロッター アジアパシフィック社長、田窪寿保さんの、個人的な付き合いから取り扱いが始まったと聞いています」
——中澤さんと言えば、シップスの伝説的な人物、元祖“プレス”ですよね? 私もよくお世話になりました。この世界でちょっと古い人は、皆知っている偉大な方です。2017年にお亡くなりになったときは、本当に信じられませんでした・・
「本当に皆に慕われていた人でしたね・・」
——では改めて、シップス別注のグローブ・トロッターについて教えて下さい。
「はい。今から25年前は、洋服好きが持っていてサマになるトランクがなかったのです。グローブ・トロッターは唯一の存在でした。真四角で、シンプルで、壊れてもすぐに直せるところも魅力でした。シップスの別注のグローブ・トロッターは、ウチにしかない、ちょっとくすんだネイビーが特徴です。われわれはミッドナイト・ブルーと呼んでいます。それから内張りには、英国トーマス・メイソンのシャツ生地が使われています。さらに30インチといった大きなサイズにも伸縮式のハンドルが付けられています。これもシップスだけのオリジナルで、他にはない仕様です」
——なるほど、シップスはさすがに老舗だけあって、トゥミやグローブ・トロッターなど、もはや世界的なブランドにも、いまだに別注商品をオーダーできるのですね。“定番とは、常にアップデートされるもの”というシップスの哲学を体現したような商品の数々、私も全部欲しくなりました。本日はありがとうございました!
撮影=小澤達也