また暑い夏がやってきた。日本の夏が、年々暑くなっていると皆がいう。地球温暖化のせいなのか、エル・ニーニョのせいなのか、それとも単なる気のせいか・・、いずれにしても、スーツを着てネクタイを締めなければいけないビジネスマン諸兄には、つらい季節の到来である。
そこで今回は神宮前の気鋭のセレクトショップ、B.R.SHOPにて、夏の涼しい(または涼しげに見える)着こなしを伺ってきた。B.R.SHOPは実店舗での販売以外に、インターネットでの販売にも力を入れていることで知られている。総売上の7割はネットだという。それだけにトレンドに対する嗅覚はピカイチだ。
猛暑を乗り切るための、実用的かつオン・トレンドな具体例を御覧いただきたい。
今回の Concierge
佐々木利浩さん(B.R.ONLINE/B.R.SHOP ゼネラルマネージャー)
1971年、東京生まれ。大学卒業後ビームスへ入社し、販売、ディストリビューター、銀座店ショップマネージャーなどを歴任。約20年を過ごした後、2014年にB.R.ONLINE/B.R.SHOPの運営会社㈱B.R.T.へ入社。現在は実店舗とEコマース双方の運営責任者として活躍している。
*コットンのスーツ(デ・ペトリロ/本人私物)、コットン100%のニット ¥64,000(アルフレッド)、シューズ ¥95,000(エンツォ・ボナフェ/B.R.SHOP Tel.03-5414-8885)
Q
「夏のスーツスタイルでおすすめを教えて下さい」
A
「夏のスーツ素材は“トロピカル”で決まりです」
——とにかく最近の夏は暑いですよね?
「こう暑くては、バイヤーとしても、困ってしまいますね(笑)。もちろんB.R.SHOPでは、お客様により涼しく、快適なものをお届けしようとがんばっておりますが・・」
——スーツを着なければいけない方は大変ですよね。
「そうですね。しかし最近の傾向として、オンとオフの装いの差が、なくなってきているとも思います。当店のお客様は3~40代の経営者の方が多いのですが、彼らのスタイルはどんどんカジュアルになっています。一昔前のショップは“スーツを買うなら、襟付きシャツを着てこい”などと平気で言っていたものですが、当店はそういう店とは真逆です。Tシャツにスニーカーで、スーツを買いに来る方がたくさんいらっしゃいます」
——今回の佐々木さんの格好も、スーツにニットというスタイルですね。
「今シーズンは、スーツをカジュアルに着るということを提案しています。ダークスーツではなく、明るいトーンのブラウンやベージュがおすすめで、タイドアップの代わりに、同系色のニットを合わせてみました。スーツこそ、究極のワントーン・コーディネイトですからね。こうやって仕上げると、また違った表情が生まれます」
——ベージュなどは、着こなしが難しそうに思えますが・・・
「確かに日本の男性は、薄い色のスーツにはなかなか袖を通さないですね。しかしヨーロッパでは普通に着られています。色が濃いものだとどうしても暑苦しくなりがちなので、日本人にもぜひ薄い色合いのスーツを試してほしいと思っています」
——タイドアップしなければならない場合は?
「ベージュのスーツには、白や同系色であるベージュをうまく使うといいでしょう。これもワントーン・コーディネイトだとキマリやすい」
——とにかく一番涼しいスーツ素材を教えて下さい。
「夏のウール素材としては、やはり“トロピカル”がイチ押しです。薄く、通気性がよく、シワになりにくい。昔からの王道ですが、これに勝るものはないと思います。最近のものは、スーパー160’といったごく細い糸を使っていても、あまりツルツル、スベスベしておらず、ザラリとしているところが特徴です。素材も進化しているのでしょう。フレスコもいいのですが、ちょっと重いところが問題です。ビジネス限定だと、トロピカル一択です」
——コットンやソラーロなどはどうでしょう?
「見た目は非常にお洒落で、私も大好きですが、あくまでも“気分的に涼しい”素材です。実際には、そんなに通気性がいいわけではありません」
——合わせる小物等で“これは”というものは?
「“これは”というわけではないのですが、最近またソックスを履くようになりました。もちろん日に焼けた素足ならノーソックスもいいのでしょうが、私のように日に焼けない体質で、しかもある程度の年になると、ソックスを履いたほうがより自然なのかなぁ、と(笑)」