Q
「カジュアル系のバッグで人気なのは何ですか?」
A
「キーワードは汎用性ということです」
——カジュアル系のカバン全体に何か傾向はありますか?
「こだわり云々より、汎用性の高いカバンが求められています。ポケットのなども減ってきていますね。やはり運ぶものが少ないからでしょう。それでいて、素材は品よく、面白いものでないと訴えることができません」
——注目したいブランドは?
「国内では“ボエム”というブランドです。もともとボーデッサンというカバン・ファクトリーにいた生嶋時彦氏がデザイナーを務めています。イタリア・リモンタ社の高級ナイロン素材“デェビス”に、特殊なインクジェット・プリンターでプリント模様を施してあります。生地の厚さやシワの入り方が、安価な素材とはまったく違います。一見無造作だけれど、よく見ると隅々までデザイナーの美意識が行き渡っているモデルだと思います」
——もうひとつカジュアル系でおすすめは?
「イタリアのステファノマーノは人気があります。昨今メンズでもカラフルなアイテムを楽しむお客様が増えているのですが、そういう方にぴったりのシンプルなトートバッグです。この鮮やかなブルー、オレンジの他、ネイビー、ホワイト、グレイなどが揃っています。素材もイタリア製で、こういった微妙な色出しは、なかなか日本ではできないのです。イタリアならではだと思いますね」
——“ダニボブ”も相変わらず人気なのですね?
「はい、定番として確立されています。これはクロドーロという人気モデルを少し縮小した商品で、“クロドーロ90%”と名付けられています。使われている素材は“ローディ”と呼ばれる独特の革です。これは鞣しの段階で、革を絞って広げて乾燥させ、この工程を数回繰り返し仕上げることで独特な風合いに仕上がっています」
——他に変わったものとしては?
「ワッコワッコという日本のブランドのカバンは面白いですね。デザイナーを務めるのは櫻井幸治氏で、ミリタリー、アウトドアなど、いろいろな要素をミックスしています。これはワッコワッコとバブァーのコラボで、素材にバブァーのコットンが使われています」
——これは、何というアイテムなのでしょう? サコッシュとも違うし・・
「何というカバンのカテゴリーなのか、という問い自体が、だんだん意味を持たなくなってきていますね(笑)。これをベルトに付ける人もいるし、首からぶら下げてネックウォレットとして使う人もいる。人それぞれで用途が違うのです。今や持ち物は携帯とカード数枚でいい時代です。カバンもウェア化してきていると思います」