Q
「いまあえてスーツを買うとしたら?」
A
「大ヒットしている生地があります」
――いま、あえてスーツを買うとしたら、どんなものがいいでしょう?
「まずはコットンスーツです。これは共地のジャケットとパンツを、別々のブランドに発注したものです。ジャケットはダルクオーレ、パンツはアンブロージで、どちらもナポリの超一流の作り手です。あえてゴリゴリのヘビー・ウエイトにはせず、程よい厚さの生地でリラックスできる1着を目指しました。シワを気にせず、自然に着こなすのがおすすめです。かつてイタリア一の洒落者といわれたフランコ・ミヌッチ氏も、よくこういうものを着ていました」
――オーダーするとしたら、おすすめの生地は?
「いま大ヒットしている生地があります。弊社がドーメルに別注した“スーパー160’s 8プライ”という生地で、極細のウール繊維を8本撚り合わせて織り上げたものです。ナチュラルストレッチがあり着ていてラク、シワになりづらく、ケアも簡単といいことづくめです。8プライだと重くなりがちですが、これは軽い。今までこの世に存在しなかった種類の生地ですね。とにかくお選びになるお客様が多く、紺とグレイのスーツを両方作って、セットアップで楽しまれている方もいらっしゃいます」
――なるほど、一概にスーツが売れていないというわけではないのですね。
「はい、着道楽としての、趣味性の高いスーツは、依然人気があるのです。オーダースーツが廃れることは、絶対にないですね。この秋冬はツイードのスーツなどもよく売れました。春夏では、英国の名門、スペンスブライソンのアイリッシュリネンを使ったクリーム色のスーツなどいかがでしょう? 20世紀のウエルドレッサー、ウインザー公をイメージした1着です。これにリネンのシャツとブラックのニットタイを合わせたら、カッコいいですよ(笑)」
Q
「小物でおすすめはありますか?」
A
「すべてがシンプルな時代。小物も実用的であるべきです」
――ちょっとした小物で、何かいいものはありませんか?
「まずはスカーフですね。コットンのニットの首元にコットンのスカーフを巻く。アクセントとしての意味もありますが、こうするとニットの襟元を汚さずにすむのです。時代はシンプルな着こなしを求めているので、あえての小物には、意味があるものがいいですね。メガネをかけている方には、リネン製のチーフをおすすめしています。飾りとしてだけではなく、さっとポケットから取り出して、メガネ拭きとして使えるからです。私もメガネ常用者なので、この便利さがわかります」
――ソックスにもいいものがあるとか?
「アンダーソン&シェパード ハバダッシャリのコットン製ロングホーズを、四季を問わずおすすめしています。番手が高いので足入れがよく、ふくらはぎのフィット感も抜群。ローファーを履いた時、甲の部分にシワが入らず、いつもピンとしています。ウールのソックスだと、同素材のパンツを履いたときに静電気が起きてまとわりつきがちですが、コットンならその心配もありません。吸水性もコットンのほうがいいですし、私は冬でもこれを愛用しています。前に申し上げたように、このブランドのクオリティは、いつも世界一なのです」