ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

ニューラグジュアリーとは? こんな時代でも売れているもの


Q

「メイド・トゥ・オーダーのシューズが売れているそうですね」


A

「“ありそうでないもの”を作れるところがいいのです」

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MTOシューズのサンプル。一番左のタッセルが三越オリジナルの3254ラスト。グッドイヤー・ウェルテッド製法、納期は3〜4ヶ月。¥90,000〜(ジョーワークス/日本橋三越本店TEL.03-3241-3311)

――シューズの伸びが800%というのには驚きました。

「昨年は、ジョーワークスのMTOだけで、年間120足以上売れました。靴も“どこどこのブランドを履きたい”ではなく、自分好みの革、ソール、デザインをチョイスして、自分だけの1足を作りたいという風に、お客様の需要が変化していると思います」

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ヴィンテージ・スチールなどのオプションをつけても価格が変わらない。

――三越にしては、お求めやすいお値段では?

「オーダー価格は9万円からですが、オプションを付けてもあまり値段が変わらないように設定しました。ヴィンテージ・スチール、メリーシート(ゴムソール)、ピッチド・ヒール、ビブラムやダイナイトのラバーソール、ストーム・ウエルト、ダブルソールなどをお選びいただいても、価格は変わりません。靴のオプションはわかりにくいですからね。簡単にしました(笑)」

――皆さん、どんなタイプをチョイスされているのですか?

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「本当にさまざまなのですが、特に人気があるのは、カジュアルなシボ革のスリップオン・タイプです。強いて言えば、ありそうでなかったタイプ、ですかね。例えば、ブローギングが施されたタッセル・ローファーのタッセルを取ってしまうとか。三越で売っているジョーワークスには、3254というオリジナル・ラストがあり、皆さんこれをよく選ばれます。通常のものより捨て寸が短く、トゥはよりラウンドしています。3254は、ミーツーコーシーの略です(笑)」


Q

「日本橋三越本店は“高い”というイメージがありますが・・」


A

「そんなことは、“決して”ありません!」

――それにしても、日本橋三越本店といえば、名門、外商などのイメージが先行して、ちょっと敷居とお値段が高いのではと思ってしまいます・・

「そんなことは、“決して”ありません。MTMのスーツなら、¥69,000から、オーダーシャツも¥15,000からご用意しています。例えば、ヘビーオンス・コットンを使った国産スーツで、あのテーラーケイドやシャロンの直井茂明さん(どちらも都内の超有名テーラー)が型紙を引いたモデルでも、¥99,000からお求めになれます。どうかお気軽に足を運んで頂きたいと思います」

――なるほど・・。これだけのブランドのオーダー品と既製服が、1か所で見られる場所は、世界的にもそうそうないですからね。圧倒的な品揃え、最高のクオリティ、そして何よりも三越ならではの信頼感は、代えがたいものがあります。それらを鑑みると、とてもリーズナブルといえますね。今は苦しい時代ですが、明るい未来を信じて、がんばりましょう。本日はありがとうございました!

*掲載した価格は全て税別


日本橋三越本店 パーソナルオーダーサロン

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1673年に呉服店「越後屋」として創業した名店中の名店。パーソナルオーダーサロンはその白眉。国内最高峰のメンズウエア・サロンとして、圧倒的なブランド数、クオリティを誇っている。接客も超一流の顧客を毎日相手にしているだけあって、さすがに丁寧かつ洗練されている。駐車場完備。

住所:〒103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1 本館2階
TEL:03-3241-3311
営業時間:10:00〜19:00
HP:https://www.mitsukoshi.mistore.jp/nihombashi/shops/men/fashion.html


撮影=岡田ナツ子

松尾 健太郎 (まつお けんたろう)

THE RAKE 日本版編集長、クリエイティブ・ディレクター
株式会社世界文化社にて、月刊誌メンズ・イーエックス創刊に携わり、クラシコ・イタリア、本格靴などのブームを牽引。‘05 年同誌編集長に就任し、のべ 4 年間同職を務めた後、時計ビギン、M.E.特別編集シリーズ、メルセデス マガジン編集長、新潮社 ENGINEクリエイティブ・ディレクターなどを歴任。現在、インターナショナル・ラグジュアリー誌“THE RAKE”日本版編集長。

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松尾健太郎

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