ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

ヴィンテージ・アクセサリーを取り入れる 今静かなブームを呼ぶシグネットリング


Q

「シグネットリングが人気だと聞きましたが・・?」


A

「いま大ヒットしている、ウチの主力商品です」

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シグネットリングの在庫は膨大。さまざまなデザイン、ボリューム感のものが揃っている。
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シグネットリング各種。すべて9金製。オーバル型 ¥148,000、シールド型 ¥83,000、クレスト型 ¥128,000、スクエア型 ¥143,000

——さて、ようやく本日のメイン、シグネットリングです。最近私のまわりには、シグネットリングをしている人が多くて、そのほとんどがOLD & NEWで買っているように思えます。かくいう私も、昨年御社でひとつ贖わせて頂きましたね(笑)。毎日ずっと着けっぱなしで愛用させて頂いています。シグネットリングといえば、OLD & NEWのようなイメージがありますが・・

「ありがとうございます。ウチの主力商品で、現在でも、とても人気があります。先日表参道のショップ、アナトミカで外販をしたのですが、5日間で15個も売れました。中にはひとりで4つも、5つも買って頂いているお客様もいます」

——どうしてシグネットリングを扱おうと思われたのですか?

「今私が着けているリングは、今から40年ほど前にニューヨークのショップでたまたま出会ったものです。つけてみたらサイズがぴったりだったので、運命的なものを感じて購入しました。以来ずっとはめていて、店をオープンするときに『メンズ・アクセサリー、シグネットリングに特化しよう』と決めたのです。それから少しずつ集め、今では100本以上の在庫があります。アメリカだと各大学の卒業生がつけるカレッジリングというものもあるのですが、ハーバードやイエールなど名門のものは滅多に市場に出回らないので止めました」

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川上氏の手には、父親から譲られたエルジンと、NYで偶然見つけたシグネットリングがはめられている。

——そもそもシグネットリングとは、何だったのでしょうか?

「昔の貴族はシールリングというものを使っていました。これはそれぞれの家紋が入っている指輪で、ロウを垂らしてシール(封印)するのに使っていました。その後、市民階級が豊かになって、貴族のマネをしたくなりましたが、彼らには家紋がなかった。そこで代わりにイニシャルを入れたリングを身に着けるようになったのが始まりです」

——サイズやイニシャルは、お直しできるのですよね。

「そうです。サイズは大きくも小さくもできますし、表面のイニシャルはさらって彫り直すことができます。アメリカ製と英国製があり、後者にはホールマークが入っています。松尾さんのは英国製ですね。ウチは結婚指輪としても推奨しています。今まで62組のカップルに選ばれてきました。ちゃんとカウントしているんですよ(笑)。二人のイニシャルを彫った後に、もし子供が生まれたら、真ん中に子のイニシャルを追加することもできます。奥さんとご主人のイニシャルを並べる際には、必ず奥さんのイニシャルを先にすること。すべてがレディ・ファーストですから(笑)」

——なるほど、私も自分自身のイニシャルを川上さんにアールデコ調にデザインして入れてもらいましたが、本当に気に入っています。私が死んだら、息子に譲りたいと思っています。彼が受け取ってくれるかどうかは、わかりませんが・・(笑)。

そういえば、川上さんの銀座のお店は、昨年末に移転したのですが、新しい店は、半分がOLD & NEW、そしてもう半分が、息子の川上健さんがやっているken kawakamiの工房兼ショップとなっています。健さんは職人で、オリジナルのクルマのスマートキー・カバーやヴィンテージを範にとったゴールド・シルバー・アクセなどを作っており、こちらも注目です。親子で仲良く店番をするなんて、同じ息子を持つ身としては、羨ましい限りです。今度はファッション以外に、どうしたら息子といい関係を築けるのかを、伝授してもらおうと思いました。本日は、ありがとうございました!


OLD & NEW

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メンズ・ヴィンテージ・アクセサリーの専門ショップ。種類、個数とも膨大なコレクションを誇っている。シグネットリングの品揃えは国内随一(もしかしたら世界一?)。昨年末銀座内で移転し、息子さんのアトリエken kawakami(instagram:ajinacrafts)と同居している

〒104-0061 中央区銀座1丁目19-12 八木ビル2F A室
営業時間:11:00~19:00
TEL:090-3912-0376 又は 090-5497−6994 
E-mail:oandn-m@coral.plala.or.jp


撮影=小澤達也

松尾 健太郎 (まつお けんたろう)

THE RAKE 日本版編集長、クリエイティブ・ディレクター
株式会社世界文化社にて、月刊誌メンズ・イーエックス創刊に携わり、クラシコ・イタリア、本格靴などのブームを牽引。‘05 年同誌編集長に就任し、のべ 4 年間同職を務めた後、時計ビギン、M.E.特別編集シリーズ、メルセデス マガジン編集長、新潮社 ENGINEクリエイティブ・ディレクターなどを歴任。現在、インターナショナル・ラグジュアリー誌“THE RAKE”日本版編集長。

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松尾健太郎

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