これから年末にかけて、何かとパーティが多くなる季節だ。そこで困るのがフォーマルウエアの着こなしである。招待状に、“Black Tie”や“Lounge”などの言葉があった場合、一体何を着ていったらいいのか、わからない方も多いだろう。そこで今回は、 数あるビームスの中でも、唯一レンタル ドレス サービスのコーナーを持ち、フォーマルのことなら何でも相談できると評判のビームス ハウス 丸の内にて、そのルールと上手な着こなし法をうかがった。覚えておけば、いつか役に立つ内容ばかりである。
今回の Concierge
津田敬さん(ビームス ハウス 丸の内/ショップマネージャー)
丸の内という場所柄ゆえ、数あるビームスの中でも、最もエグゼクティブ向けの商品が揃うビームス ハウス 丸の内にて、ショップマネージャーを務める。ビームス入社の前は、英國屋、そして壱番館という一流店にて、テーラーをしていたという。実際に洋服を縫っていた経験を生かした、体型補正やお直しの方法など、実践的なアドバイスに定評がある。もちろん、フォーマルの造詣も深く、どんな相談にも乗ってもらえる。
Q
「招待状に“Black Tie”とありましたが、どんな格好をすればいいのでしょう?」
A
「これはタキシードを着なければいけません。ボウタイとカマーバンドも必須です」

——ビームス ハウス 丸の内が他店と違うのは、数あるビームスのなかで、唯一フォーマルウェアのレンタルをやっている点ですね?
「そうです。モーニング一式、タキシード一式のレンタルをしています。モーニングの場合は、上着、コールパンツ(縞模様のパンツ)、ベスト、アスコットタイの4点セット、タキシードの場合は、タキシード上下、ボウタイ、カマーバンドの4点セットをお貸ししています。レンタルとはいえ、裾丈と袖丈は、その都度お直ししてお出しするので、ぴったりとサイズが合ったものをお召しいただけます」
——どのような方がお見えになりますか?
「様々な方がいらっしゃいますが、一番多いのは、結婚式用のモーニングのレンタルでしょう。新郎の方、そして仲人を頼まれた方がよくお見えになります。4点セットでお貸ししているので、手持ちのシャツと黒靴を合わせて頂ければ、そのまま対応できます」
——シャツのレンタルはないのですか?
「シャツはご購入頂いております。ビームス ハウス 丸の内には、ウィングカラーやレギュラーカラーのシャツ以外にも、様々なボウタイやポケットチーフ、カフス、スタッズ、グローブなど、フォーマル用のアイテムが数多く揃っています」
——レンタル料金はおいくらになりますか?
「モーニング一式2泊3日で、5万2000円〜、タキシード一式で、4万円〜となります。追加で、シューズのレンタルもあり、キャップトゥ、オペラパンプス、どちらも5000円で利用していただけます。レンタル期間が長くなるとお値段も上がっていきます」
——さて、“Black Tie”の指定があれば、これは、もうタキシード以外ないのですね。
「はい、そうです。実は、ブラックタイ指定のパーティは、今でも結構あるんですよ。タキシードは、ブラックか濃紺のものがいいでしょう。ボウタイとカマーも同じ色が無難です。しかし、フォーマルでの装いは、何よりそのパーティの主旨を読むことが大切なのです。まず、主催者が何を考えてパーティを催すのかを考えることです。友人同士の集まりなら、少々くだけた装いも許されると思います。主催者側に、あらかじめドレスコードについて尋ねることは、少しも失礼ではありませんし、むしろ、そうするべきです」
——今、タキシードの主流はどんなタイプですか?
「ピークトラペルがおすすめですね。よりクラシックなスタイルです。以前あったようなショールカラーは、ビームスでは、ここ7〜8年やっていません。シャツはウィングカラーの他に、レギュラーカラーでもOKです。出来ればダブルカフスのシャツがいいですね。カフリンクスで遊べますから。チーフは、白麻のものをスリーピークスで入れるのが基本です。ややカジュアルな集まりならシルバーのシルク製もいいでしょう。パンツはベルトループがないタイプなので、サスペンダーを使用します。今回私が着ているビームスFのタキシードは、ベーシックなデザインで、ほどよくシェイプも効いており、日本人に合った一着だと思います」
——オーダーメイドだと、どのくらいの金額で出来ますか?
「タキシードの場合、パターンオーダーだと18万円前後、フルオーダーなら23万円前後で承れます。生地はドスキンやバラシヤなどですね。総裏が基本ですが、暑いのが苦手な方には、フルオーダーであれば背抜きで作ることもできます。春夏ものと秋冬もの、2着あれば理想的といえます」
Q
「招待状に“Lounge”とありましたが、どんな格好をすればいいのでしょうか?」
A
「これは“スーツ”の意味なのです。しかもドレッシーな感じにしたほうがいいでしょう」

——“Lounge“というのも、よくあるドレスコードですね。
「これはスーツスタイルを意味しています。しかもドレッシーな感じを出した方がいい。前に申し上げたように、まずパーティの趣旨を知ることが大事なのですが、よくわからない場合は、チャコールグレイなど、いわゆるダークスーツを選んだ方がいいでしょう。モヘア混など、シルクっぽい質感を持つものもいいですね。ネクタイは必ずします。シャツも無地が無難でしょう」