ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

Vゾーンの基本

エンリッチ 松尾健太郎 スタイルコンシェルジュ

テーラード・スタイルにおいて、もっとも重要なのがVゾーンである。スーツはシックなものを揃え、シャツとタイで変化をつけるというのは、男のお洒落の王道だ。Vゾ―ンには、その人のセンスがストレートに表れる。ここをどう作るかに、コーディネイトの成否がかかっている。

しかし、上手なVゾーン・メイクは、なかなか難しいものだ。毎朝の組み合わせに、頭を悩ませている方も多いだろう。そこで今回は、男のお洒落の“花形”ともいえるVゾーンにスポット当て、ベテランConciergeに、「絶対にうまくいく」コーディネイトのコツを伝授してもらおう。

今回の Concierge
大岡靖治さん(ビームスF サービスマスター)

コンサバティブな洋服を集めたセレクトショップというのは、今でこそ当たり前だが、その元祖といえるのが、ビームスFである。30年以上の歴史を誇るオーセンティック・ファッションの名門で、ここに特別な愛着を持っているファンも多い(私もその一人)。

大岡靖治さんは、20年のキャリアを持つ、接客のプロである。特にブリティッシュ・スタイルに造詣が深く、ワードローブには、ファーラン&ハーヴィー、ジョージ・クレバリーなどが並ぶ。


Q

「紺のスーツに合う、基本のシャツとタイを教えてください」


A

「青系でまとめると、まず失敗がありません」

大岡さんのお好きなサヴィルロウメイドのスーツを中心に、同系色でまとめたコーディネイトで。スーツ私物(ファーラン&ハーヴィー)、シューズ私物(ジョージ クレバリー)、シャツ3万6000円(ジョバンニ イングレーゼ)、タイ1万6000円(フランコ バッシ)、チーフ3000円(ムンガイ/以上ビームスF☎︎03-3470-3946)
大岡さんのお好きなサヴィルロウメイドのスーツを中心に、同系色でまとめたコーディネイトで。スーツ私物(ファーラン&ハーヴィー)、シューズ私物(ジョージ クレバリー)、シャツ3万6000円(ジョバンニ イングレーゼ)、タイ1万6000円(フランコ バッシ)、チーフ3000円(ムンガイ/以上ビームスF☎︎03-3470-3946)

 
——Vゾーン・メイクって難しいですよね。私も毎回迷ってしまいます。

「そうですね。Vゾーンというのは、その方の社会的地位、置かれている立場、出かける場所などによって、変えるべきものですから、一概にこれが正解というのはないのです。その上で申し上げますと、シャツとタイを買うときは、手持ちのワードローブに合わせることが肝心です。お店に来て頂いて、何色のスーツが多いとか、靴は茶系しか履かないとか、そのあたりをお話頂ければ、適切なアドバイスが出来ると思います」

——ご自身は、どのようにコーディネイトをなさっているのですか?

「私の場合、スーツはグレイやネイビーなど、地味なものがほとんどです。それにタイとシャツで変化をつけます。タイは200本程度、シャツも100枚くらい持っています。あとは天気も重要な要素です。その日のコーディネイトは、必ず毎朝天気を見てから決めることにしています。天気がいい日には、明るいVゾーンが似合いますからね」

——さて、一番基本の紺無地スーツですが、これにはどんなシャツとタイがいいでしょうか?

「失敗がないのは、やはり色数を抑えて、同系色でまとめる着こなしです。ネイビーのスーツなら、青系もしくは青紫系などでまとめれば、絶対にうまくいくでしょう。特に今シーズンは、同系色でまとめるコーディネイトが再び脚光を浴びていますから、ますますおすすめです」

——足元は、黒靴を合わせていらっしゃいますね?

「黒靴の人気が再燃しています。ブラウン系の靴は、ちょっと人気が広がりすぎてしまった感があります。早い人は、また黒い靴に戻ってきていますね。英国調が注目されているという背景もあると思います」

 


Q

「グレイのスーツに似合う、シャツとタイを教えてください」 


A

「基本はやはりブルー系でまとめること。やや明るめの色も似合います」

グレイのスーツに、ブルー系のVゾーンは、まさに鉄板的コーディネイトだ。 スーツ私物(ファーラン&ハーヴィー)、シューズ私物(ジョージ クレバリー)、シャツ2万4000円(チット ラグジュアリー)、タイ1万8000円(ガッロ)、チーフ6000円(ムンガイ/以上ビームスF☎︎03-3470-3946)
グレイのスーツに、ブルー系のVゾーンは、まさに鉄板的コーディネイトだ。
スーツ私物(ファーラン&ハーヴィー)、シューズ私物(ジョージ クレバリー)、シャツ2万4000円(チット ラグジュアリー)、タイ1万8000円(ガッロ)、チーフ6000円(ムンガイ/以上ビームスF☎︎03-3470-3946)

 
——グレイの無地スーツも定番です。これに似合うシャツとタイはどんなものでしょうか?

「これも基本のブルー系でまとめれば失敗がありません。このような無地のニットタイがあれば、どんなものにも似合うので、とても便利だと思います。これに合わせたのは、タイと同系色のチェックのシャツです。チェックを取り入れるときは、どこか一カ所だけにしておけば、柄がケンカせず安心です。ライトグレイのスーツには、イエローやピンクなど、少し明るめのパステル・カラーもいいでしょう」

——お召しになっているのは、サヴィルロウのスーツですね。どんなところが特徴ですか?

「イタリアものと比べると、肩がしっかりしていて、胸のボリューム感もあります。背中もぴたりとくっついている感じです。いろいろなスーツを試して来ましたが、私は英国物に惹かれます。英国人の持つ、文化的部分が好きなのです。特にモノを大切にする姿勢は、素晴らしいと思います。例えばチャールズ皇太子の着こなしを見ると、あれだけの人であるにもかかわらず、スーツにツギが当ててあったりするのです」

松尾健太郎

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