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いま再燃する プレミアムブランド SUVバトル

驚いたのはインテリアだ。ベントレーで手腕を振るっていたロビン・ページ氏が手がけたそれはクラスを2つ飛び越えた。レザーやウッド、アルミの使い方は一流と言っていい。写真では伝わりづらいのが残念だが、いきなり乗せられたらベントレークラスの格を感じるだろう。

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ベントレーで手腕を振るっていたロビン・ページ氏が手がけた内装
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機能が集約されたモニター

また、コクピットに座って思ったのはスイッチ類の少なさ。これも高級路線のトレンドで、操作系の多くをタッチ式のモニターに集約する。新型レンジローバーのプレゼンテーションではクリエイティブオフィサーのジェリー・マクガバンが「50%スイッチを減らした」とアナウンスしたが、今回もそんな印象を持った。

ではパワートレーンはどうか。

新型XC90の国際試乗会では、ディーゼルエンジンのT5、ガソリンエンジンのT6、ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド車のT8が用意されていた。どれも排気量は2リッターで、それに過給機やモーターを付けて出力をコントロールしている。

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T6のガソリンエンジン

乗り比べると、T6のスポーティさが際立った。過給機によって320hpにスープアップされた4シリンダーエンジンは力強く、8速のギアボックスをパドルで操作すれば予想以上の走りが楽しめる。また、そのときのボディの動きは気持ちよく、決して背の高いクルマを操っている危うい感はない。加速時に沈み込む感覚もじつにいい。

もちろん、ボルボは背の高いクルマをつくるに当たって相当な研究を繰り返している。なんたって2002年に初代XC90を発表したときは、開発のためにロールオーバー試験場まで開発したほどだ。しかも、いまもその試験場は進化していて、衝突安全を高める礎になっている。

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公表されていないが、他メーカーからも試験のオーダーを受けているらしい。

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話が横道に逸れたが、ハイブリッドのT8も今回は目玉。ボルボ初の市販ハイブリッドモデルは今後注目を集めるであろう。安全と環境にこだわる彼らの集大成がそこにある。

そんな新型XC90だが、前述したように今後ライバルの増加は気になるところ。来年にはジャガー初のSUV、Fペースも登場する。続々とリリースされるSUV。そこに新たな勢力図が形成される。はたしてXC90はマーケットにどう受け止められるのか。そんな視点からもこのクラスからは眼を離せない。

九島辰也

九島 辰也 (くしまたつや)

モータージャーナリスト兼コラムニスト/ 日本カーオブザイヤー選考委員。「Car EX(世界文化社)」「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社)」編集長「LEON(主婦と生活社)」副編集長を経て、現在はモータージャーナリスト活動を中心に様々なジャンルで活躍。2015年からアリタリア航空機内誌日本語版編集長、2016年から「MADURO(RR)」総編集長もつとめる。

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