メルセデスベンツというブランドは侮れない。というか、やはりすごいと思う。なにがスゴイかと言えば、時代の変化に対する読みと対応力だ。彼らは次世代のエネルギーソースに関し真摯に取り組み結果を出してきた。直噴ガソリンユニットやクリーンディーゼル、ディーゼルハイブリッド、EV、PHEV、燃料電池まで幅広く全方位的に研究開発を進めているのだから恐れ入る。
そうかと思えば、ターゲットを広げるため横置きFFパッケージのAクラスの派生モデルを拡充。GLAやCLAシューティングブレークなんてモデルを市場投入し、話題をさらった。まさかこのクラスでスタイリッシュなシューティングブレークをラインアップするとは誰も思わなかっただろう。
そして今回のSクラスカブリオレ。まさにAクラスで成功した派生モデルの拡充をSクラスでもしようとしている。先にリリースされているSクラスクーペもそうだし、メルセデスマイバッハを含め、その勢いは止まらない。
しかもSクラスカブリオレに関しては別の軸でのラインアップにも関わっている。それはオープントップモデルという括り。SLC(旧SLK)、Cクラスカブリオレ、Eクラスカブリオレ、SLといった面々がそれで、彼らはそれを“ドリームカー”と定義づけている。
ということで、Sクラスカブリオレの話をしよう。今年4月、フランス南部の街ニースを起点にその国際試乗会は行われた。
ステアリングを握ったのはメルセデスベンツS550カブリオレとメルセデスAMG S63 4MATICカブリオレである。名前がどんどん長くなってしまうが、理詰めで考えるドイツ人(たぶん日本人もそう)らしいといえばそうなのかもしれない。「Sクラス」だし、「AMG」だし、「ヨンク」だし、「屋根開き」だし、となるとこうなる。ちなみに、このクラスともなればV6モデルは存在しない。ここまでくれば廉価版は必要ないようだ。