2004年にリリースされたコンチネンタルGTシリーズのヒットで世界中の富裕層から一気に注目を集めることとなったベントレー。だが、このブランドの頂点に立つのはやはりこいつ、ミュルザンヌに違いない。このクルマこそ、まさにトップオブベントレーといったポジションにある。
その理由はいうまでもなく伝統的な名前もそうだが、エンジンの排気量などにも表れている。ここでは詳しい話は省くが、6750ccのV8エンジンというプロファイルは歴史あるスペックそのもの。戦前のレースでの輝かしい成績が見え隠れする……。
それはともかく、ミュルザンヌがモデルチェンジした。
2014年のパリサロンでコンセプトをお披露目、今年春のジュネーブショーでプロダクトをアンベール、6月の国際試乗会へとこぎ着けた。場所はオーストリアのインスブルック。ババリアンアルプスの麓を走り回った。
新型は見た目こそ大きな違いはないもののかなり手が入っている。当然のことボディパネルは一新。グリルまわりも意匠変更している。ただクラシックとモダンの融合路線は変わらない。個人的にはどこかミッドセンチュリー的な雰囲気を感じる。また、シャシーではサスペンションモードの設定をよりスポーティにし、ベントレーファミリーとしてのクルマの性格を色濃くした。いうなれば、アグレッシブなクルマになったということだ。
そしてそのミュルザンヌの最強バージョンがミュルザンヌスピードである。コンチネンタルGTにもある“スピード”というグレードだ。これまた戦前のスピード6といったモデルから継承するワードとなる。
今回のインスブルックでは、そのスピードを中心に試乗した。やはりスピードは目玉だし、販売比率も極めて高い。