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ポルシェ パナメーラ

そんな新型パナメーラを試乗したのは、ミュンヘンの郊外。

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空港を起点に約200キロのコースを2日かけて2回走った。試乗車はパナメーラターボと同4S。どうやらディーゼル最速と呼ばれる4Sディーゼルの日本導入はとりあえずなさそうだ。

走りの印象は相対的にスポーツカー色が濃くなった。特にパナメーラターボの加速はそうで、もはや異次元に突入といったところ。速度無制限のアウトバーンをあっという間に時速200キロまで持っていく。しかも230キロでの安定感は特筆モノ。路面状態に関係なく、緩やかなカーブのついたアウトバーンを何の不安感も持たせることなくピタッと路面に貼り付いたように走る。まさにまんまスポーツカーの挙動だ。

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またワインディングでは連続するコーナーを気持ち良く駆けるのだが、この時クルマが小さく感じるのも伝えたいポイント。今回初めてリアアクスルが操舵する機構を搭載したことで、ロングホイールベースを感じなく、クルッと回れるようになった。
 
そんな走りをする時はドライブモードを「スポーツ」もしくは「スポーツプラス」にするといい。動力系のレスポンスが高まり、足もぐっと硬くなる。それとエキゾーストサウンドが誇張されるのも嬉しいオマケ。下品過ぎない一歩手前のところでレーシーなサウンドを奏でる。

今回、ポルシェはこのクルマを開発する段階でニュルブルクリンク北コースの最速ラップを狙った。結果、7分38秒のトップタイムを得たという。驚くのはそれが市販仕様であること。パナメーラターボのドライブモードをスポーツプラスにし、オプションの21インチホイールを履かせただけだ。安全のためロールバーをつけたというが、市販車と違うのはそれだけ。まさにポルシェ開発陣の意地といったところだろう。4ドアサルーン最速の称号を手に入れた。

4ドアポルシェを侮るなかれ。もしかしたらパナメーラのライバルは911?なんて思える仕上がりである。

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取材協力:ポルシェジャパン
 

九島辰也

九島 辰也 (くしまたつや)

モータージャーナリスト兼コラムニスト/ 日本カーオブザイヤー選考委員。「Car EX(世界文化社)」「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社)」編集長「LEON(主婦と生活社)」副編集長を経て、現在はモータージャーナリスト活動を中心に様々なジャンルで活躍。2015年からアリタリア航空機内誌日本語版編集長、2016年から「MADURO(RR)」総編集長もつとめる。

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