BMW5シリーズ……。その歴史は長く高い信頼性を得ているのは、ご想像のとおり。根強いファンは多く、5シリーズを乗り継いでいる方も多いと聞く。ドイツにはカンパニーカー制度がありそこでも人気だ。ビジネスセダンの定番といっても過言ではない。
ポルトガルで行われた新型5シリーズの国際試乗会に参加してそれを強く感じた。まさに歴史ある定番モデルである。新型はなんとその7世代目。1972年の初代から数え2017年は45周年を迎える。販売台数はトータル790万台を稼いでいるそうだ。
個人的には4世代目が思い出深い。1995〜2004年の間につくられたもので、当時自動車雑誌の編集者だったこともあり、取材で何度もステアリングを握った。“BMWらしさ”全開!の一台といいたい。
さて、新型だが、そのデザインはキープコンセプトながら全体的にブラッシュアップされ、性能を上げている。“ビジネススポーティセダン”という暖簾をそのままに、シャープさを強調しエアロダイナミクスを稼いだ。空気抵抗値を表すCd値0.22は驚異的であり、セダンでは世界最高値となる。実車を目前にしたら確認してほしい。ボディ細部にエアガイドラインがあり、タービュランスを抑制している。かなり複雑なボディラインを量産車に取り入れている。
フロントマスクの特徴はキドニーグリルとつながったヘッドライトユニットのデザイン。これはまさにイマドキで、他のラインナップに習った形状となる。LEDのコンビネーションは新世代BMWの象徴だ。
今回試乗したのはお馴染み3リッター直6ターボの540iと3リッター直6ディーゼルターボの530dである。この他には2リッター直4のガソリンとディーゼル、それと4.4リッターV8がラインナップされる予定だが、注目は530e iPerformanceだろう。2リッター直4ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドが、この先の定番になる可能性を秘めている。
では試乗車の印象だが、540iはあいかわらずの力強さをみせた。BMW5シリーズに期待するパワフルさと快適な乗り心地の両立、それと“らしさ満点”のハンドリングは期待通りといったところ。ボディは軽くヒラリヒラリとコーナーを駆ける。実際に軽量化は図られているようだ。従来の540i比ではパワーで10%アップ、省燃費で11%改善している。
ただ驚いたのは530dの方で、予想以上の快適さをもたらした。トータルのバランスがいいと言うのだろうか。操作系すべてがナチュラルに思えた。エンジンの吹け上がりはよく、サウンドも悪くない。長く乗っているとディーゼルであることを意識させないセッティングだ。