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レクサスLC

パワーソースは、LC500は5リッターV8エンジンをLC500hは3.5リッターV6+モーターというマルチステージハイブリッドを搭載する。興味深いのはこのタイミングでV8ユニットの排気量をダウンサイジングしなかったことだ。近頃どのメーカーも排気量を下げターボでそれを補っているのはご承知のとおり。エンジン自体をコンパクトにして効率化を優先している。が、レクサスはそれを拒否した。おかげで自然吸気のフィーリングのいいエンジンが楽しめる。しかも排気サウンドまでチューニングしているから、加速からブリッピングまで心地よいサウンドが響き渡るのもグッドだ。

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5リッターV8
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ハイブリッド

LC500hのマルチステージハイブリッドはエコでもあるが、エンジンパワーを助ける動きをする。エンジンとモーターの両方の出力で加速性能を高めようとプログラミングされている。これまでとは異なる発想だ。どちらかというと、ヨーロッパ的な考え方といえるだろう。

そんなLCを昨年12月スペインでテストドライブした。メディア向け国際試乗会である。

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セビリアの街中を起点とするコースで目を惹いたのはLC500h、つまりハイブリッドモデルの走行性能だ。今回従来のニッケル水素ではなくリチウムイオン電池を搭載するのだが、小型化することとバランスをとるためリアに搭載したことで、重量配分がよくなった。そのためハンドリングは軽快になり、リアの追従も一体感を強く感じる。特にワインディングでその恩恵はあり、ヒラリヒラリとコーナーを駆け抜けた。いうなればハンドリングマシンである。

それに今回はトルコン式4速ATトランスミッションが搭載される。そのためシフトフィールがちゃんとあって、タイミングよくブリッピングなんかもするようになった。なかなかどうしてスポーツマインドいっぱいである。

一方のV8は有り余るパワーとトルクでクルマを引っ張るのだが、ターボで過給しない自然吸気エンジンならではのナチュラルな吹け上がりとリニアな加速がチャームポイント。アクセルを踏み込んだときのレスポンスを含め、きっとドライバーは操作している実感を強く抱くことだろう。クルマ好きにはうれしいテイストである。

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といったのがスペインでの感想だが、じつはそのあと少しばかり日本でもステアリングを握る機会を得た。そして感じたのはやはり操作性のよさ。このアグレッシブな装いとワイルドなスペックからは想像できない乗りやすさがそこにある。

これこそレクサスの真骨頂かもしれない。海外セレブがどれだけ反応するかわからないが、彼らの琴線に触れる仕上がりであることは間違いないだろう。

九島辰也

九島 辰也 (くしまたつや)

モータージャーナリスト兼コラムニスト/ 日本カーオブザイヤー選考委員。「Car EX(世界文化社)」「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社)」編集長「LEON(主婦と生活社)」副編集長を経て、現在はモータージャーナリスト活動を中心に様々なジャンルで活躍。2015年からアリタリア航空機内誌日本語版編集長、2016年から「MADURO(RR)」総編集長もつとめる。

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九島辰也

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