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アルピナ BMW ALPINA XD4

アンダーステアにもオーバーステアにもならないこのセッティングはいったいどうなっているのかと驚くばかりである。それを証拠に足元を司るのはピレリPゼロの22インチ。

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まさにスーパーカーのスペックだ。ワインディングではそのパフォーマンスを余すところなく使う。それにしても、いつ見ても鍛造のアルピナクラシックホイールはかっこいい。トレンドに左右されるホイールデザインにおいて、これだけ長く定番でい続けられるのは相当レアではないだろうか。
 
ダンパーの調整は電子制御式になっているので、ドライビングモードで変えられる。ワインディングではスポーツモードまたはスポーツプラスがいい。が、サスペンションの硬さが個人的には気になる。せっかくアルピナに乗るのであればコンフォートくらいがちょうど良いと思えたのが正直なところ。もちろん、他人を乗せているのとそうでないのでは運転も変わるが。

最後にインテリアにも触れておこう。ここはまさにアルピナらしい世界が広がる。言うなれば“アンダーステイトメント”なコーディネイト。華美な装飾というよりシンプルにまとまっているのが彼ら流だ。

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ここに身を置くとアルピナユーザーに医師や歯医者、音楽家が多いのもわからなくない。外界から遮断されたキャビンはストレスフリーな環境。レザーの上質感、ペイントの落ち着いた色使いはさすが。いろいろなクルマを乗り継いできた大人の最終到達点を感じる。

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そんなXD4のプライスは1385万円。22インチのアルピナクラシックホイール&タイヤとハーマン・カードンのサラウンドサウンドシステムはオプションだが、この辺は外せないだろう。ただ、この価格もアルピナを知れば知るほど安く思えてくる。なんたって台数が少ない。試乗車となるこのモデルにも製造台数を表すシリアルナンバーを刻印したプレートが付けられていた。
 

九島辰也

九島 辰也 (くしまたつや)

モータージャーナリスト兼コラムニスト/ 日本カーオブザイヤー選考委員。「Car EX(世界文化社)」「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社)」編集長「LEON(主婦と生活社)」副編集長を経て、現在はモータージャーナリスト活動を中心に様々なジャンルで活躍。2015年からアリタリア航空機内誌日本語版編集長、2016年から「MADURO(RR)」総編集長もつとめる。

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