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アウディ e-tron GT

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カーボンニュートラルが叫ばれる世界の自動車産業において、ヨーロッパメーカーはすごい勢いで電動化を進めている。ハイブリッド、プラグインハイブリッド、完全なEVというラインナップでガソリンエンジンやディーゼルエンジンだけのモデルを消滅させる方向だ。ボルボはすでにそれを行なっているし、ベントレーも電動化を宣言している。マーケットシェアがそれほど大きくないメーカーは小回りが効く分、転換は早いかもしれない。

*この記事は2021年7月に掲載されたものです

そんな中、フルラインナップを持つブランドで目立っているのがアウディだ。e-tron(イートロンと読む)、e-tronスポーツバックときて、今回スポットを当てるe-tron GTが追加される。正式な発売は今秋だが、今年2月にワールドプレミアされると日本でも4月から期間限定で一般公開された。

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すでに実車をご覧の方もいらっしゃるだろうが、このクルマはかなりかっこいい。2019年にドイツでコンセプトカーを見た時からそう思っていたし、今回日本で見てもその意見は変わらない。4つのドアを持ちながらこれだけワイド&ローに構えられると、ハートはくすぐられる。

それじゃどんな構造なのかというと、プラットフォームはポルシェ・タイカンと共有する。同じフォルクスワーゲングループ内でのシェアということだ。とはいえ、言わずもがなデザインから走りの味付けまでしっかりアウディが手掛けた。フロントマスクからリアのコンビネーションランプまで、彼らのデザイン言語でカタチ作られている。六角形のシングルフレームグリルとマトリクスLEDヘッドライトの位置関係はまさに新世代アウディそのままである。

発表されている資料によると、グレードは2つあるようだ。名前はe-tron GT quattroとRS e-tron GT。どちらも前後のアクスルにそれぞれ1つずつの電気モーターを装備して駆動させる。要するにクワトロ(AWD)である。後者に“RS”に文字が入っていることからもわかるように、そちらをハイスペックバージョンとする。最高出力はそれぞれ350kWと440kW、最大トルクは640Nmと830Nmを発揮する。EVらしくトルク値は半端ない。価格は1399万円と1799万円となる。

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床下にリチウムイオンバッテリーを敷き詰めるEVは背の高いSUVのパッケージングが適しているのは通説である。そこに厚みを設けても違和感がないからだ。が、このクルマもスポーティなGTカーとしてまったく違和感なくできている。プラットフォームからEV専用車として設計することで、見事に課題をクリアしたといったところだろう。ボンネットの低さも実に絶妙である。

九島辰也

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