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VOLVO/ボルボ

たとえばそのひとつに、ボルボが打ち出している“VISION 2020(2020年構想)”がある。「2020年までに新しいボルボ車が関わる事故における死亡者や重傷者をゼロにする」というものだ。なぜ彼らはそれほどまでの安全にこだわるのか。ハッキリ言って、自動車創世の父、メルセデス・ベンツでさえ、そこまでは言い切っていない。

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安全へのこだわりは秀逸

そこで浮かぶのが、スウェーデンの国策。彼らは200年以上前に中立政策を掲げ実行してきた。ナポレオン戦争以降、近隣の小さな戦いはともかく、世界大戦には参加していない。

その理由は人口減少を防止するためと考えられる。そもそも厳しい自然環境下にある土地柄だけに、生活するだけでもかなりタフなのは言わずもがな。それなのに、戦争で人口が激減してしまっては国力は下がるばかり。得意の社会保障制度もあっという間に崩壊してしまう。[/one_half_last]そんなこともあって第二次世界大戦後もスウェーデンは困窮しなかった。他のヨーロッパ諸国が戦闘で荒れた地を整備し、外貨獲得に精を出していたときも、豊かであった。彼の地に50年代や60年代のアメリカ車がいまも多く保存されているのはそんな理由がある。どうやら当時のカーガイたちは、ゴールデンエイジと呼ばれていた時代のアメリカ車を買い求めていたようだ。

話が逸れたが、ボルボが安全にこだわるのにはそんな背景がある。日本の1.2倍の国土に960万人ほどしか暮らしていないのだから、わからなくもない。この人数はおよそ神奈川県に近い。国によって命の重さが変わってはいけないが、それを実感させられる。

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エリクソンとの共同事業にかんするトークセッションも
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今回のプレゼンテーションでは、そんなことも言いたかったのだろう。そのために多くのメディアを自国に呼んだと考えられる。新車発表以外のプログラムでは、エリクソンとの共同事業や、IT企業トップによるトークセッションなども組み込まれた。スウェーデンのイマを語りたかったわけだ。国のバックグランドや現状が見えてくると、増々このブランドに興味が募る。ボルボには単なる小さな北欧のカーメーカーと言い切れない奥深いものを感じてならない。

九島辰也

九島 辰也 (くしまたつや)

モータージャーナリスト兼コラムニスト/ 日本カーオブザイヤー選考委員。「Car EX(世界文化社)」「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社)」編集長「LEON(主婦と生活社)」副編集長を経て、現在はモータージャーナリスト活動を中心に様々なジャンルで活躍。2015年からアリタリア航空機内誌日本語版編集長、2016年から「MADURO(RR)」総編集長もつとめる。

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九島辰也

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