ミニを誕生から再考、その未来への不安と期待
物事には理由がある。
当たり前の話だが、自動車史を眺めるとそれがよくわかる。歴史的な事象によりクルマは大きくなったり小さくなったりしているからだ。
例えばそれはアメリカ史を通しても明白。栄華の時代と言われる1920年代と50年代にアメリカ車は大きく発展する。
特に50年代はフルサイズと呼ばれる全長5mを超えるものは当然のこと、6m近いモデルがいくつかあった。GMのデザイナー、ハーリー・アールが活躍したのはその頃。巨大なテールフィンが一世を風靡した。
そして73年と79年の2つのオイルショックでは見事にクルマが小さくなる。コンパクト化されたマスタング2のサイズには我々日本人も驚いたのを記憶する。
それじゃヨーロッパはというと、そんな現象を象徴するモデルがあった。ミニだ。1959年に生まれたこのコンパクトカーもまた、歴史的な事象をきっかけとする。
ことの始まりはスエズ動乱。1956年にエジプトがスエズ運河を国有化すると宣言することではじまった第二次中東戦争とも言われるそれである。つまり、そこでの原油の輸入量の削減を見越して省燃費に優れたクルマをつくろうという意図でミニは生まれた。
設計を担当したのはご存知アレックス・イシゴニス氏。エンジンを横に置きその下にギアボックスを納めることで、小さいエンジンコンパートメントを実現した……。