ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

INFINITI/インフィニティ

インフィニティ導入を画策中?
ガイシ系ニッサンだからできること

SME201502_1
アメリカのインフィニティディーラー

インフィニティをご存知だろうか? クルマ好きはもちろんのことアメリカに足を踏み入れれば、否応無しにそれを目にする。彼の国では至ってメジャーなカーブランドだ。

そんなインフィニティのバッヂは日本でも拝むことができる。街で見かけるスカイラインがそれだ。フロントグリルには“NISSAN”ではなくインフィニティのエンブレムが輝いている。その理由はスカイラインの価格がグッと上がったことに関与する。かつての大衆スポーティカーはプレミアムカーへと変貌した。300万円をメインにした価格は400万円台後半に一気に跳ね上がり、オプションを付ければ軽く500万円の大台にのる。

そしてその背景にはアメリカでのモデル展開がある。新型スカイラインはQ50という名でインフィニティディーラーで売られるからだ。ただ、正確にはそれまでも先代スカイラインは北米ではインフィニティブランドで販売されてきた。2002年に登場したG35がそれである。

2002年に登場した INFINITI G35
2002年に登場した INFINITI G35
 G35の後継INFINITI G37
G35の後継INFINITI G37

が、それは今日の解釈とは少し違う。当時のインフィニティブランドと昨今のそれとは大きくポジションが異なっている。

それを感じたのは今年年初のデトロイトモーターショーでのこと。北米におけるインフィニティブランドのバイスプレジデントに話を伺うこととなった。そのときインフィニティとレクサスの違いに関し、彼はこう説明した。

バイスプレジデントのマイケル バーチ氏
バイスプレジデントのマイケル バーチ氏

「レクサスははじめからプレミアムドイツ系ブランドのポジションを狙ってつくられました。ですが、インフィニティはそうではなく、ニッサンを卒業した方々の受け皿をつくったのです……」と。

つまりこうだ。比較的安価な日産車で育った人が事業で成功したりして年々収入が上がったとき、他のプレミアムへ移るのを阻止しようと考えたわけだ。これは至って健全な考え方であろう。経営陣としてはポジティブな戦略である。

この話を聞いて思い浮かんだのはポルシェだ。かつて2ドアしか持たなかった彼らは4ドアのSUVとセダンを立て続けに出して成功を収めた。その発想の裏には、911やボクスターユーザーが家のガレージの横にAMGを並べていた事実がある。スポーツカー一台で事足りなくなったとき、速いクルマが好きな人は速い4ドアを欲しているという分析結果だ。そして彼らはAMGの換わりとなる4ドアを自らの手でつくり上げた。

話をインフィニティに戻すと、はじめはニッサンの少し上でよかったインフィニティも年を重ねることにより高いプレミアム感が必要となってきた。昨今のプレミアム市場を鑑みれば一目瞭然だろう。そこの成長は著しい。なので、当初は日産車のバッジ違いを売っていればよかったものの、いまはインフィニティ用に開発しなくてはならなくなったのだ。

そして生まれたのが新型のスカイライン。このクルマはもはやインフィニティブランド用に設計されたといっても過言ではない。

SME201502_5

それはこのクルマのパワートレーンを見てもわかる。当初ハイブリッドのみというのもそうだし、途中で追加された2リッターエンジンもそう。こちらはテネシー州にあるニッサンのエンジン工場でつくられるのだが、設計はメルセデス。北米で売られるメルセデスベンツEクラスやCクラスに積まれるのもここで生産される。このアライアンスは効率の面でメルセデスに、イメージの面でニッサンに効果をもたらすことだろう。実際テネシーまで足を運んだが、パワープラントの第二工場として広大な敷地を用意するなど、重要なプロジェクトであることが読み取れた。

九島辰也

Return Top