世界中から厳選したホテルだけを取り扱う宿泊予約サイト「Tablet Hotels」が、ENRICHの読者に相応しいホテルをデスティネーション別にセレクト。今回は南仏プロバンスのオーベルジュの中から選りすぐりの3ホテルを紹介する。
ミシュラン星付きシェフ、アラン・デュカス氏監修のオーベルジュ
La Bastide de Moustiers(ラ・バスティード・ド・ムスティエ)
3室のゲストルームを備えたオーベルジュとなる以前は、ミシュラン星付きシェフ、アラン・デュカス(Alain Ducasse)氏のカントリーホームだった「ラ・バスティード・ド・ムスティエ(La Bastide de Moustiers)」。今世代を代表するフレンチシェフの一人が手がけるプロヴァンスの宿とあれば当然期待したい。
17世紀に建てられた石造りの家の周りには、オリーブの木が点々と並び、ラベンダー畑が広がっている。まさに夢に描いたようなプロヴァンスの生活を想像させるその姿は、デュカス氏が始めてここを訪れた時とほぼ変わらない。違うのは、彼の友人でありデザイナーのトニア・ペイローの手により改装されたホテルの部屋だけ。部屋は素朴かつエレガントなインテリアでまとめられている。
ここは南仏でも特に恵まれた一角に佇むプチホテルであり、美食家の理想を形にした場所なのだ。
ムスティエは、迫力あるライムストーンの崖のふもとに広がる古い町で、何世紀にも渡り巡礼の地として、そして伝統工芸と美味しい食事で知られてきた場所。(ここを訪れたら、ラベンダーハニーでいただく名物ビスキュイ・ド・ムスティエは必ず味わいたい。
アクティビティなら、近くのヴェルドン渓谷をハイキングしながら景観を楽しんだり、大きな岩山を登ったり、丘をマウンテンバイクでツーリングなんていうのもお勧め。乗馬や気球ツアー、ハンググライダーを楽しむ事も可能だ。
とはいえ、ここを訪れる一番の目的は、リラックした時間を満喫すること。ガーデンを散策したり、中庭の木陰やプールサイドでドリンク片手に読書したりするだけで満ち足りた時間になるだろう。
そして、なんといっても一番の主役は食事。料理は腕利きの庭師がその日一番の食材を摘み、毎朝キッチンの窓際に届けることからはじまる。何種類もあるエアルームトマトのうちどれかが食べ頃に熟れていれば、厨房スタッフはそれを例えばトマトソルベにして、地元産ラム肉と絶品ラタトゥイユに添えて出してくれたりする。
目の前に広がるプロヴァンスの丘の眺めと、そよ風に乗って届くハーブ菜園の香りを楽しみながらガーデンテラスで味わう食事は格別である。