前回は、ビジネスカードについて取り上げたが、今回はガラっと内容を変えて、いまやコンビニなどでお馴染みの「共通ポイント」の最新動向について掘り下げる。皆さんのプライベートやビジネスにも、深くかかわってくるかもしれない？(1/3回・2/3回を見る )

激化する共通ポイント間の競争

6月のエントリーはこれで最後ですが、今回は内容を変えて「共通ポイント」についてお話しさせてください。

ご存知の通り共通ポイントとは、「Tカード（Tポイント）」「Pontaカード（Pontaポイント）」「Rポイントカード（楽天スーパーポイント）」といった、加盟店の利用で貯めることができ、同じく1ポイント＝1円の価値として支払いにも使えるサービスのこと。Tポイントであれば、レンタルサービスのTSUTAYAやコンビニのファミリーマートの利用、あるいは提携クレジットカードの支払いでも貯めることができます。ポイントは現金と同等の価値を持つことから、近年は、クレジットカードのポイントやマイルに匹敵する人気を誇っています。

そんな共通ポイントですが、最近は新たな動向が見受けられます。

ひとつは、富裕層マーケットへの参入です。これまで共通ポイントの加盟店といえば、コンビニやスーパー、飲食店といった、どちらかというと一般的な店舗やサービスと提携することが多かったのですが、楽天スーパーポイントが貯まる「Rポイントカード」は、老舗百貨店の大丸や松坂屋が加盟店として参加。100円（税抜）につき1ポイントが貯まり、1ポイント＝1円相当として支払いにも充てられます。これまで百貨店といえば独自の会員プログラム、あるいはクレジットカードを通じたポイントプログラムを提供してきましたが、今後は顧客の拡大を目指して、共通ポイントとのさらなるタッグがあるかもしれません。

さらに、この5月には、NTTドコモが「Ponta」との連携を発表。ドコモは12月から「dポイントカード」を発行して、スマホなどの料金支払いに応じて付与されるdポイント（現在のドコモポイント）を、全国約1万1000のローソン店舗でも利用できるようにする考えです。これまでdポイントは機種変更など自社サービスの利用に限定されていましたが、Pontaとの提携により鎖国状態から抜け出そうというわけです。その背景には、携帯電話で他社回線の利用を制限する「SIMロック」の原則解除による、顧客流出の食い止めもあるでしょう。一方、ローソンからすると、ドコモと組むことで利用者増が見込めますし、決して悪い話ではありません。

また、これまでローソンはPontaとしか組んでいませんでしたが、dポイントとも提携することで、事実上、排他主義から脱却。今後は、他の共通ポイントに対応する可能性も。

実際、Rポイントカードを採用している、サークルK・サンクスはファミリーマートに吸収されるわけですが、ファミマにはすでにTポイントがあります。もしかすると、宙ぶらりんになったRポイントカードをローソンが採用するかもしれません。

そもそもコンビニは、Visaやアメックス、JCBと、複数のクレジットカード利用に対応しているにもかかわらず、共通ポイントは明確に棲み分けがなされていました。消費者にとって、これはある意味デメリットです。

ところが今後、ローソンとドコモの提携をきっかけに、複数の共通ポイントに対応するなど、流れが変わるかもしれません。そうすると、共通ポイントの付加価値は、さらに高まるのではないでしょうか。もしくは共通ポイントを活用した、新たなビジネスモデルが生まれる可能性も…。事実、東京電力はリクルートHDと「Ponta」を手がけるロイヤリティマーケティングの2社と業務提携を発表。東電の電気料金支払いでPontaポイントが貯まり、それらを「じゃらん」などリクルートのサービス、もしくはローソンなどの支払いに充てられるようになる見通しです。2016年4月からは家庭でも電力会社を自由に選べるようになりますが、共通ポイントとのタッグによる顧客の囲い込みが狙いでしょう。

このように、急激に共通ポイントを取り巻く環境は変わっていて、もしかすると親和性の高いクレジットカードにも何らの影響があると考えられます。いまやポイントはキャッシュと同じ価値を持ちますから、今後の動向は気になるところ。お金に敏感なエンリッチ読者の皆さまも、それは同じことだと思います。このコーナーでも、新たな情報があれば、随時お届けしていきます。

 
コンビニなど手軽な買い物で貯めることができ、利用や移行範囲も幅広い共通ポイントが、さらに進化しつつある。これからは、提携したユニークなビジネスが生まれるかもしれない。クレジットカードやカードポイントにも近い存在なので、今後も定期的に最新情報をキャッチしていきたいところだ。

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