資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回は、「国内不動産投資」がテーマです。安定的な資産形成として人気ですが、一方で価格が上昇し、すでに手遅れという声も…。いまから始めても間に合うのでしょうか。ーーー
国内不動産投資:いまから始めても間に合う?
Q(質問者):日本の不動産投資を検討しているうちに時間は過ぎ、物件価格は上がってしまいました。いまさら投資を始めても遅いような気がします。タイミングとしてはどうなのでしょうか?
A(内藤氏):東京都心を例に挙げると、ここ数年で物件価格は上昇していて利回りは下がっています。ワンルームマンションであれば管理費などの経費を差し引いた、いわゆるネット利回りが4%台前半レベルです。港区などの都心3区になるとさらに低利回りであるケースもあり、高値警戒感を持っている投資家も増えています。
では、不動産投資を始めるには既に遅いかというと…決してそうとは限らないと私は考えています。というのも、不動産の場合、借入を活用した投資を行う場合がほとんどで、利回りだけではなく、借入金利との「利回り差」を見る必要があるからです。
調達金利が低いなら、不動産の利回りが低下しても投資の成果は変わらないということです。現状の不動産融資金利は1%台半ばで、人によっては1%以下で調達できる投資家もいます。
運用利回りと借入コストの金利差が2.5%以上あれば、長期ローンでキャッシュフローをプラスにすることができます。現状の水準であれば、まだこの状態になっています。日銀はマイナス金利を継続する可能性が高く、当面金利が上昇する気配はありません。