スポーツカーでワインディングロードを駆け回るのはもちろん痛快だが、遠くまでクルマで淡々と走り続ける旅の楽しみも捨てがたい。たとえば普段はゆっくりとした時間がとれないパートナーと気ままなひとときを楽しむのもいいし、フロントウィンドウを流れる景色に心奪われながらドライブするのも悪くない。買うだけ買ってまだパッケージさえ開けていなかったCDを小脇に抱えて旅に出るのも楽しそうだ。
そんな小旅行に出かけるとき、あなただったらどんなクルマを選ぶだろうか?
私の夢は、コンチネンタルGTと旅に出ることだ。
1919年に創業したベントレーがもっとも得意とするのが、グランドツアラーと呼ばれる高性能車。エンジンはパワフルで足回りも強靱だが、それらはワインディングロードを機敏に走り回るためのものというより、長距離を安楽に旅するために用意されたもの。同じ理由から車内は広々としていて、豪華極まりないインテリアを備えている。
コンチネンタルGTは、そんなベントレーの代表作といっていい。
先ごろフルモデルチェンジを受けたコンチネンタルGTに試乗するため、私はオーストリアのチロル地方に飛んだ。ここからアルプスを越えてイタリアまで新型コンチネンタルGTで存分に駆け巡るというプログラムである。
快適な乗り心地や優れた静粛性はこれまでと変わらない。高速道路では相変わらずパワフルな走りが楽しめるし、そうしたスピード域でも走行安定性や静粛性は損なわれない。新型コンチネンタルGTも引き続きグランドツアラーとしての資質は極めて高いと評価できる。