資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回は「外貨投資」について考えます。円安を想定して買ったものの、その後の相場は膠着状態……。どうしたら良いのでしょうか。ーーー
外貨投資:外貨を買ったが相場は動かない。どうすれば良い?
Q(質問者):円安を想定して外貨を購入したのですが、その後ドル/円は105円~110円前後でこう着したまま、あまり動きが見えません。これ以上円安にならない可能性もあると考えた方が良いでしょうか。
A(内藤氏):最初に申し上げておくべきことは、将来の為替レートの予測というのは専門家であっても極めて難しいということです。
為替レートとは、株価のように価値を示すものではなく、「交換比率」のことであり、理論的に正しい交換比率を計算するのがそもそも困難ですし、その通りにならないことが当たり前なのです。
ですから、為替に関しては、当てにいくのではなく、どうなったら困るのかという視点で自分のポジションを決めていくべきです。
具体的には、現状の為替レートより、「もし円高になったら」「もし円安になったら」と2つのシナリオを想定して、どちらに転んでも致命的なダメージを受けないように自分の資産の外貨比率を決定しておきましょう。
円資産しか持たないで円安になれば資産は実質的に目減りしますし、外貨資産ばかり保有して円高になってしまえば、大きな為替差損が発生します。
円高か円安か予想がつかなければ、それぞれを半分ずつというのが基本になります。「円安になる」、それとも「円高に進むかも」といった値動きの可能性や予測は、ひとり一人が考えていることですが、そんな予想とは関係なく円と外貨をバランス良く保有する。これが、分散投資の基本です。