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部下の折れない心を育てるマネジメント術

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名選手は名監督ならず!

「名選手は名監督ならずと言うように、成績優秀だった人が経営者になっても良い指導者になるとは限りません。むしろ自分のやり方を押し付けるタイプは名監督ならず、でしょう。とくに一昔前の、世の中全体が縦社会でポジションパワーが通用した時代に育った40、50代の経営者はその傾向がある。景気がよかったこともあり、上司からの一方的なコミュニケーションだけでも、部下は結果を出すことができました。しかし、IT社会で競合が激化した現代において結果を出すには、多様化した価値観や現実に立ち向かわなくてはいけない。

その時代背景を理解した上で部下をマネジメントしていく必要があります。コミュニケーションとは“伝える”ことではなく、相手から“何を聞き出すか”。相手の考えや悩みを聞き、徹底的に相手の立場に立って指導しなければ、真の意味で部下の成長を促すことはできません。それには軸足を“自分”ではなく、“部下”に置くこと。相手と真摯に向き合い、“タテの関係”を築きながらも、何かあった時は相談してもらえるような“ヨコの関係”も築く必要がある。

上司と部下も対人ですから信頼関係がなければ、ポジションパワーだけでいくら聞き出そうとしても本当のことを話してはくれません。そのために常日頃から、会話中の目線を合わせる、忙しくても相談は真摯に聞く、プライベートの話をする、などを心掛けましょう。部下は実に注意深く上司を見ているもの。背後の緊張感を持って接してください」

理想の経営者像とは

「部下の個性を見極めめしょうという話をしましたが、自分の個性を見極めることもよい経営者になるために必要なこと。たとえば、自ら社員をどんどん引っ張っていくようなカリスマタイプがいいのか、フォロワーシップを発揮して後ろから社員を鼓舞していくフォロワータイプがいいのか。社風や自分の個性にあった経営者像をしっかりと掲げましょう。

また、上に立つ人間は“好かれるぐらいなら尊敬されたほうがいい”と考えています。最近の人は、嫌われたくないがゆえに叱ることができない。部下のためになるなら叱って嫌われても数年後に分かってくれればいい、というぐらいの覚悟を持ってこそ真のリーダー、経営者だと思います。また、“怒る”と“叱る”は全く違います。叱るとは、部下の成長を思って注意することで、思った通りの成績を上げられないからと感情的に怒っては、信頼を失うだけです」

部下の折れない心を育てるマネジメント術

部下の折れない心を育てるマネジメント術

心が折れかけていたらどうする?

「まずは、何が原因で落ち込んでいるかを知ること。悩みは大抵、自分でコントロールできないことが多い。だからこそ悩み苦しみます。部下やチームの成績が上がらない、結果が出ないという問題は、晴れてほしかったのに雨が降ってしまった…と悩むようなもの。まずは、それに気付かせてあげて悩みの原因を徹底的に整理し、できることを見つけたら、そこに集中するように導いてあげましょう。

また、励ますことも有効です。一番効くのは“上司の自己返し”。『お前なんかいいほうだよ、俺のときはもっとひどくて…』と自分の苦労話や失敗談を話します。そうすることで経営者という遠い存在が身近な存在に感じられて、部下は励まされます。

部下のモチベーションを上げるためのコツもいくつかあります。まずは悩んでいる、その先の目的にフォーカスさせること。人間は痛みに結びつくとやる気を失いますから、問題解決した後に高い評価をもらえる、表彰されるという快の思考へ転換させること。また、相手の過去の成功体験を話してもらい、順調だった時の感覚を蘇えらせて上げましょう。自信を取り戻すことができれば、うまくいくはずです」

エンリッチ編集部

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