資産を上手に管理するためにはポートフォリオが重要だと言われる。これはまったくもって正しい概念であり、筆者自身もそれなりに資産を分散管理している。だが、ポートフォリオの最適配分は状況によって大きく変わるし、保有する資産額によっても変化する。資産額に合わせてポートフォリオの配分を見直すのは、重要な作業だ。
資産を形成している最中はポートフォリオはそれほど気にしなくてよい
すでに一定額の資産を持っている人なら、目新しい話ではないだろうが、資産形成の初期段階ではポートフォリオという概念はあまり必要ない。投資であれビジネスであれ「攻め」のフェーズでは、何らかの形で1点集中しなければ、大きな資産を作ることは難しい。
ある時期には、自分のビジネスにすべてを投入することが必要となるし、起業というのは自分自身、あるいは自分が設立した会社に対して全財産をつぎ込むようなものだ。投資も同様で、高いリスクを取らなければ、小さな金額を大きな金額にすることは不可能である。
まとまったお金がない時期からポートフォリオを過度に気にする人がいるが、これは合理的な考え方とはいえない。まとまった資金がない段階では、それを作ることに専念すべきであって、少しばかりの資産を分散管理することを考えてもあまり意味はないのだ。
だが、ある程度、まとまった資産を持つようになってからは、そうはいかなくなる。せっかくビジネスで成功し、ある程度の資産の構築に成功しても、その後、資産を失ってしまう人を時々見かけるが、このような人は、価値観を転換できず、資産形成期のポートフォリオを維持してしまっていた可能性が高い。
つまり大きな資産を形成するためには、それなりの資産集中化が必要であり、資産を形成してからは、逆にポーフォリオによる分散所有に舵を切ることが重要である。