前回、オークランドの様子について紹介しましたが、今回はオークランドだけでなくニュージーランド全体についてリゾートやアートシーンも含めて紹介していきます。ニュージーランドに関わりを持つ富豪として、一時世界最大級のヘッジファンドであったタイガー・マネジメントの創業者ジュリアン・ロバートソンについて紹介しました。
このロバートソン氏はニュージーランドに3つの世界的なリゾートを作り上げました。その3つとは、北島の北端にあるカウリ・クリフス、同島の東端にあるケープ・キッドナッパーズ、南島のニュージーランド最長の湖であるワカティプ湖に面したマタカウリで、3つとも素晴らしい自然環境に恵まれた立地です。
3つのリゾート共に優れた自然環境の中に広大な土地を擁していて、宿泊施設も世界的に高い評価を得ています。特に、カウリ・クリフスとケープ・キッドナッパーズの2つのリゾートには、ニュージーランド特有の起伏に富んだ海岸沿いの地形を生かしたゴルフコースがあり、世界中のゴルファー垂涎の地となっています。両コースともに、世界で最も権威があるとされるゴルフマガジン誌の世界トップ100コース(ケープ・キッドナッパーズ=40位、カウリ・クリフス=94位)にランクインしています。このランキングには通常、オーガスタやセント・アンドリュースといった長い歴史を経てきたコースがランクインしているので、両コースのように20年に満たない歴史のコースがランクインすることは異例のことです。
どちらも半島をほぼ全てロバートソン氏が購入して、世界的なゴルフコース設計師が思う存分腕を振るったからこそ成し遂げられた偉業と言えるでしょう。これらのリゾートの管理はロバートソン氏の次男であるジェイ・ロバートソンがニュージーランドに常駐して行っていることで、高い質が維持されているようです。どのリゾートもオークランドから何時間もかかり、さらに1泊10万円以上の超高級リゾートであるため今回の滞在では訪れられませんでしたが、ぜひいつか訪れてみたいと考えています。
ロバートソン氏だけでなく、日本人でもニュージーランドにゴルフコースを作っている人は何人かいて、その中でもミルブルックというコースはPGAのツアーが開催されるまでに高い評価を得ています。前回の記事でニュージーランドには、金融関係者が移住する例が多いと紹介しましたが、ゴルフコースだけでなく投資銀行マンからワイナリーの経営に転身するために、ニュージーランドの大学で専門の学位を取得し、その後ワイナリーの運営に携わっている方までいます。
ゴルフコースもワイナリーも人間の力だけではどうしようもなく、豊かな環境をいかに生かすか、思い通りにならない自然相手の根気強い作業が試されるものなので、通常のビジネスとはまた違ったやりがいと達成感があるようです。