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日本でもようやくビットコイン関連法が成立。資産保全手段の一つとして注目

これまで、法的基盤がなかったことから、投資家は、ビットコインの事業者を信じるしかない状況だった。登録制とはいえ、政府の監督下に入ることは、投資家にとって大きな安心材料となるだろう。モノではなく、通貨的な位置付けということになれば、消費税の対象からは外れる可能性が高い。実際に法律が施行され、登録事業者という形での運営が始まれば、市場の拡大が期待される。

もちろん法整備が進んだからといってビットコインが、既存の通貨と同じレベルの資産保全能力を持つのかは誰にも分からない。だが、徐々にではあるが、ビットコインを資産保全の手段として活用する動きは広がってくるだろう。

ビットコインは金と同じ役割を果たせるか?

ビットコインはマウントゴックス事件の直前、投機ブームとなり、1ビットコイン=1100ドルまで高騰した。だが事件をきっかけに価格は暴落し、一時は、1ビットコイン=200ドルまで値下がりしていた。その後、徐々に値を戻し、現在は1ビットコイン=470ドル前後となっている。

特にここ1年は、ゆっくりとした上昇ペースとなっており、ボラティリティ(値動きの幅)が低下している。現在、既存通貨に代わる資産保全手段の代表は金だが、最近のビットコインのボラティリティは、金のボラティリティと大差ない水準に落ち着いている。

この水準が持続する保証はないが、実物資産である金よりも売却や購入が簡単で、コストがほとんどかからないということを考えると、場合によっては金よりも有利と考えることも可能だ。

もっとも、ビットコインはあくまでも電子的な通貨なので、これを預ける事業者に多くが委ねられているのも事実である。金も保管施設が窃盗などの被害に遭う可能性があるが、重い金を運び出すのはそう簡単ではなく、ハードルは高い。ビットコインを紙に印刷して、実物資産的に保管する方法もあるが、あまり現実的ではないだろう。

ただ、以前と比べて、ビットコインが資産保全手段の一つになる可能性は高まっている。ギリシャ債務危機の際、ITリテラシーのある人は、資産をビットコインに変えて保全していたといわれるし、中国から資産保全目的でビットコインを購入する人は、後を絶たない。

筆者は積極的にビットコインへの投資を推奨するわけではないが、国内でも法整備が始まったことで、投資のハードルは大きく下がっている。興味のある人は、事業者に口座を開いてみるとよいだろう。こうした新しいツールは、自分で使ってみるのが一番である。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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