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ビジネスオーナーのカード活用術 2/3回

前回は、ホテル会員プログラムにまつわるポイントやマイル、カード活用について触れたが、6月の2回目は、ビジネスオーナーにとって付加価値の高いカードを取り上げる。

“ビジネスカード”に技あり

アメックス ビジネス

起業家、経営者であれば、個人のカードとは別にカード各社から発行できる「コーポレートカード」を持っているかもしれません。会社全体、事業部別で発行するなど、大手企業では一般的でしょう。
一方で、事業規模がスモールサイズ、あるいは医師や弁護士などビジネスオーナーには、コーポレートカードよりもフレキシブルに使える「ビジネスカード」が便利です。ここでは、そんなビジネスカードの付加価値に迫っていきたいと思います。

ビジネスカードの最大のメリットは、個人名義の口座だけではなく、法人や個人事業主の口座からの利用代金を引き落とせるということ。ビジネス用の口座を指定しておけば、交際費や出張費といった経費の立て替え費など経理事務手続きがシンプルになります。カード処理であればその時々でキャッシュが不要になり、カード利用に伴うポイントも付与されますから、実質的な経費削減につながるメリットも得られます。

そこで気になるのが、具体的なビジネスカードですが、代表的なモノを取り上げましょう。

アメリカン・エキスプレス®・ビジネス・プラチナ・カード
発行元:アメリカン・エキスプレス
年会費:13万円+消費税

アメックスでは法人や個人事業主向けにビジネスカードを発行していますが、なかでもハイクラスに位置するのが、このカード。個人向けには、最上級の「アメックスセンチュリオン」が有名ですが、ビジネスカードには存在しないので、アメックス・ビジネス・プラチナはこのジャンルで最高ランクということになります。

気になるサービス内容ですが、基本的には一般のプラチナカードと変わりません。コンシェルジュサービスをはじめ、手厚い保険(国内最高5000万円、海外最高1億円の付帯旅行保険など)、プライオリティ・パス、ホテルのアップグレード…ビジネスカードでも同じようなサービスが提供されています。

一方で、ビジネスカードならではの特典も。代表的な内容ですが…。

●4枚まで無料の追加カード発行
●5枚まで無料のETCカード発行
●4半期管理レポート
●ビジネス情報サービス
●Club‐OFFの無料利用
●ビジネス・セービング
●事務機器の3年間修理補償 など

アメックス・ビジネス・プラチナでは、一般カードの「家族カード」に相当する、従業員向けの「追加カード」を発行することができます。ワンランク下のアメックス・ビジネス・ゴールドでは追加カード1枚につきカードホルダーの半額の年会費が必要ですが、プラチナの場合は4枚まで年会費無料、ETCカードも5枚まで無料で発行できるのです。

なお、家族カードとは異なり、追加カードに旅行保険は付帯しません。ですが、コンシェルジュサービス等はメインカードと同じく付帯するので、これは大きなメリット。追加カードを持つ社員も手軽にホテルやレストランの予約ができるので、出張や接待で力を発揮するでしょう。スポーツやレジャー、ホテルなどを特別優待価格で利用できる、Club‐OffのVIP会員にもなれますから、このカードで福利厚生も万全です。

ビジネスに直結するサービスも豊富で、4半期ごとのクレジットカードの明細をまとめた「4半期管理レポート」、ニュースや企業情報を調べることができる、ビジネス情報データサービス「G‐Search」が無料で使えるのも特長。商談や打ち合わせ前の情報収集に役立てることができます。

さらに、オフィスで使う消耗品や宅配料金、車の手配を特別優待価格で利用できる「ビジネス・セービング」、オフィス利用を目的に購入した事務機器、電化製品を3年間修理補償といったサービスもラインナップ。ビジネスオーナー、従業員の公私をサポートする1枚として、付加価値は非常に高いと思います。

なお、アメックス・ビジネス・プラチナを持つには、同カードのホルダーからの紹介、あるいはアメックス・ビジネス・ゴールド・カードを持ち、利用実績を重ねてインビテーションを待つしかありません。その点は、ご留意ください。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード
発行元:クレディセゾン
年会費:2万円+消費税

こちらは、カード会社のクレディセゾンが発行する、国際ブランドがアメックスのプラチナビジネスカード。プロパーはインビテーション制でしたが、こちらは申し込みで取得できます(審査あり)。
しかも、年会費は2万円+消費税とリーズナブルで、年間200万円以上のカード利用で、翌年は1万円+消費税になります。ビジネス利用であれば、この水準はラクにクリアするでしょから、コストパフォーマンスはバツグンです。ただし、追加カードは年会費3000円+消費税/枚(4枚まで発行可能。ETCカードは5枚まで無料発行)となっています。

このカードですが、プロパーカードと同じく、引き落とし口座を個人、法人名義から設定でき、経費の管理をスムーズできます。直近3カ月分のカード利用明細データをダウンロードできる会員専用インターネットサービス「Netアンサー」にも対応していますから、カードの利用状況管理も問題ありません。

他にも、事務用品やレンタカー、宅配サービスなど、様々な業種の経費の支払いが優待価格で利用できる「ビジネス・アドバンテージ」、法人向け顧問弁護士サービス「リーガルプロテクト」や、全自動クラウド型会計ソフト「freee(フリー)」の優待利用など、ビジネスに関連する付帯サービスを豊富に用意。プライオリティ・パスをはじめとした、国内外の空港ラウンジ、ハイヤー送迎、ホテルやエアライン、ダイニングなどの優待サービス「オントレ」、「コナミスポーツクラブ」を法人会員料金で利用、家事代行サービス、コンシェルジュサービスといった、お馴染みのプラチナサービスもラインナップ。社員福利厚生にも使え、満足度の高い1枚といえるでしょう。

このように、プラチナカードが持つ特典と仕事でも役立つサービスを両立させたのが、ビジネスカードのメリット。もちろん、プラチナクラス以外に、スタンダード、ゴールドクラスも用意されていますから、その点はニーズに合わせて選ぶことです。

なお、ここで取り上げた2枚以外に、ダイナースでも個人事業主や法人企業の代表者などが申し込める「ダイナースクラブ ビジネスカード」があり、年会費は2万7000円+消費税。年会費無料で何枚でも追加カードが発行できます。

当然ながらカード利用でポイントが貯まり、他にも会計ソフトの優待利用、税務や資金調達、人事や労務など6つの分野に対して専門家に無料相談できるアドバイザーサービス、ビジネス・ラウンジの利用、健康診断やフィットネス利用、情報配信、オフィスリフォームの優待といったサービスも用意。非常に付加価値の高いビジネスカードといえます。

また、ダイナースクラブには、出張や接待など経費決済専用カードを個人カードに追加して申し込むことができる「ビジネス・アカウントカード(経費決済専用カード)」もあります。規模の小さいビジネスオーナーであれば、こういった選択肢も考えられるのではないでしょうか。

 
通常の利用だけではなく、ビジネスシーンでも力を発揮するビジネスカード。福利厚生の面でも付加価値を発揮するので、個人事業主やスモールビジネスオーナーを中心に、保有を検討すればいいだろう。
それでは次回、6月の締めくくりでは、クレジットカードのトピックからは離れ、最近、競争が激化している「共通ポイント」の動向について取り上げよう。


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菊地宗仁_300

菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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