ブラック・プレミアムクラスを中心に、ポイ探の菊地崇仁氏が、クレジットカードの隠された使い方や機能を探っていく本企画。

今月のテーマは、プレミアム感を得られる、ユニークなクレジットカード。じつはこのジャンル、ホルダーのみならず、カード会社にも高いメリットがあるようだ。（1/3回から読む）

ユニークな提携カードを
カード会社が発行する理由とは？

ポケモンやワンピースといった人気アニメとコラボしたクレジットカード。最近はアイドルとの提携も目立つようで、『でんぱ組.inc』『東京女子流』（読者の皆さまはご存知でしょうか。正直、私は調べるまで知りませんでした…）など、ファンを狙い撃ちしたカードが幅広く発行されています。もちろん、その理由は、特定の発行枚数が期待できるからに他なりません。ホルダー限定の特典を用意すればファンにはたまりませんし、カードを持つことでファン心理も満たされます。

ちなみに、次のようなユニークなカードも。そのひとつが、『浦和レッズ VIASO（ビアソ）カード』です。

発行元は三菱UFJニコスで、年会費は無料。0.5％ポイント還元で、海外最高2000万円の旅行傷害保険（利用付帯）が付帯します。スペックだけを見れば、ごくごく普通の一般カードといえるでしょう。

ただし、このカードが面白いのは、カード利用金額の0.255％が「選手の育成費用」「有力選手の移籍金」といったチーム強化費に使われること。すなわち、カードホルダーになりアクティブに使うことで、間接的に浦和レッズを応援できるわけです。特定のチームと提携したクレジットカードは数多くありますが、これは珍しい取り組みだと思います。サポーターからすれば嬉しいことですし、もしかすると埼玉県一体で多くのホルダーがいるかもしれません。

すでに募集は終わっていますが、ジーンズメーカーのリーバイスと三井住友カードの提携により発行された『リーバイス®プレミアムカード』は、その名の通りプレミアム感が味わえるカード。

というのも、貯まったポイントの交換景品に、1944年型の501®スペシャルヴィンテージジーンズを用意していたからです。ここでしか手に入らず、コレクターからすると、このカードの価値は、どんなブラック・プレミアム系カードよりも高いはず。ユニークなサービスといえるでしょう。

こういった提携カードは、ビジネス面でもカード会社にメリットをもたらします。そもそも、カード利用に応じた手数料収益がカード会社のビジネスモデル。だからこそ、「還元率が高い」「ポイントの移行先が豊富」など、ホルダーにメリットを感じてもらえるようなサービスを用意することで、多くのカード利用を促すわけです。

そこで、ホルダー層を特化したクレジットカードですが、ポイントと交換できるオリジナル特典を用意すれば、それこそ還元率は高くなくてもカード利用は期待できます。これは、カード会社にとって、紛れもないメリット。2％のポイント還元と0.5％還元では、ポイントバックの負担が大きく異なります。じつのところ、カード会社にとっても、ファン層に向けたカードは、コストパフォーマンスに優れる面があるのかもしれません。戦略として、正しいといえるでしょう。