ブラック・プレミアムクラスを中心に、ポイ探の菊地崇仁氏が、クレジットカードの隠された使い方や機能を探っていく本企画。「特別編」の最後は、「ポイントサービス」が話題。今年はターニングポイントとなる1年を迎えそうだ。
あらゆるサービスが
ポイントと結びついていく
2016年のトレンドとして最後にお伝えしたいのが、クレジットカードとの親和性が高い、「ポイントサービス」についてです。どちらかというと、エンリッチ読者の皆さまには馴染みが薄いかもしれませんが、今後はそうとは限りません。巨大な経済圏を築きあげ、生活により密接な関係になりそうなので、動向を抑えていただければと思います。
最大のトピックは、4月に始める「電力小売完全自由化」です。これまで、各家庭は各地域の大手電力会社からしか電力の供給を受けられませんでしたが、春からは、一般家庭や商店など、契約電力が50キロワット未満の低圧分野が自由化され、新電力(特定規模電気事業者)から買うことができるようになります。これまでに、KDDIやソフトバンク、楽天、東京ガス、エネオスといった、通信大手、IT、大手ガス、石油元売りの約80社が新勢力として参入を表明していて、この1月からは予約も始まっているのはご存知の通りです。
そこで注目したいのは、既存の電力各社を含め、多くのサプライヤーがポイントサービスを導入することです。
例えば東電であれば、利用料金に応じて、TポイントもしくはPonta、中部電力は、WEB会員サービスで貯めたポイントを電力料金の支払いに充当できたり、nanacoやdポイントなどに交換できるサービスを行うと表明しています。他にも、楽天であれば楽天スーパーポイントというように、新電力側もポイントサービスに力を入れるのは明白で、顧客の奪い合いは激化すると思います。いずれは、ガスの自由化も始まる見通しですが、ここでも同様の施策は取られることでしょう。電力料金の変更は経済産業省に申請し、認可を受けないと実施できませんが、ポイントサービスを介することで、フレキシブルに実質値上げ・値下げができるようになり、電力会社・顧客ともにメリットがあります。
付与率は明らかになっていませんから、どれだけ顧客にメリットがあるのか不明な点もありますが、いずれにしても、インフラとポイントサービスが結びつくというのは画期的な話です。つまり今後は、国民の誰もが「何を貯めるか」「どこで消費するか」などポイントを意識せざるをえませんし、ポイントの流通量は激しく増えていきます。巨大なポイント経済圏が形成されていくでしょうし、反対に、こういったサービスを利用しないということは、経済的なロスを意味するのです。
ポイント業界はここ数年で大きく様変わりし、2003年にTポイントが共通ポイント化したことに始まり、当初はTポイント一強の時代が続きましたが、10年にはPontaが登場して共通ポイントは二強時代へ。13年にはYahooポイントが廃止されTポイントに切り替えるという大事件が起きました。これにより、ネットとリアルがつながり、翌年には楽天もリアルでの共通ポイントサービス「Rポイントカード」を開始しています。